「ヨーロッパ国境警備隊」は、いつもの国境警備隊を今回は地中海の国々で。アフリカなどから安価な手段で移動してくるため、いつもと味わいが違う。
特にスペインで人が密集したゴムボートを沿岸警備隊が保護したところが印象的だった。モロッコから逃れてきた人々で、収容後に移民として認められる可能性に賭けてあえて捕まることもあるらしい。そうしたゴムボートはよくエンジンが壊れていて、人力で漕いで移動していることもあるという。ただ番組の翻訳で移民という言葉のみをつかって、難民という単語が登場しないことは気になった。どのような意図だろうか。
バルセロナ空港でアフリカから来た客の荷物からは希少な亀がたくさん出てくる。そのなかには濡れた靴下に入れて、乾燥して死なないようにしたものもあった。
「ワシ狩りに挑む遊牧民の少女」は、モンゴル少数民族のカザフの人々のなかで、鷲狩りの文化を受けつごうとする幼い少女を紹介。
見ながら、中央アジアを舞台に女性主人公が高度な狩猟技術を見せる漫画『乙嫁語り』を思い出した。餌を手にもって鷲が止まるよう訓練する光景や、十年ごとに繁殖のため鷲を解放するので崖の巣穴から新たに雛を捕獲するため必死に登ってロープで降りる光景など、ディテールで連想させる部分が多い。
ただし番組で紹介された鷲狩りは男性の文化のようにあつかわれる。それでも少女が親から教えてもらえたのは、兄が街へ去り、その文化そのものがとだえようとしているため。
しかし少女を敵視する名人が明らかな悪役として配置されているが、少女が何かを選ぶたびに文句をいう姿がどうにも同じ場面で同時期に撮影した映像のようで、演出のために時系列をいじっていそうに思えた。
そうした演出に限界がある実際の競技では、名人が他と比べて早く鷲を腕に止まらせてみせた上で、少女がさらに圧倒して優勝してみせたのだが……
「キラウエア火山噴火、迫りくるマグマ」は、2018年にハワイで溶岩が住宅街を飲みこんでいった災害の紹介。近年の出来事だが、間近で溶岩がせまりくる映像を見たのは初めて。
まず前兆として、通常は溶岩をたたえて観光地として人気のあったプウ・オオ噴火口で、いきなり溶岩が消失した。その後に連続する地震の震源が東に移動していることから、マグマが地中に沈んで移動していることが判明する。
住民に注意喚起がなされるなか、道路に亀裂ができ、白煙があがる。人間の歩くくらいの速度で溶岩が地上に出てきて、森や家を飲みこんでいく。その温度は500度ほど。
しかしその最初の噴出は、移動してきたマグマに過去から溜まっていたマグマが押し出されたものと判明。広範な規模でさらに高温の溶岩が地上に現れて住宅地を分断し、海まで流れて行った……
住宅をのみこむ溶岩の光景は、まるで『ボルケーノ』や『ダンテズ・ピーク』のよう。それらの映画が溶岩が明るい色のままなことに対して、実際の溶岩は表面は冷えて岩の色になりつつ内側から溶けたままの赤熱した溶岩があふれて移動する。
被害額はすさまじいが、早期から避難勧告を出して、森でとりのこされた人もたまたま飛ばしていたドローンで発見して誘導に成功。幸いにも死者は出さずにすんだという。
溶岩まで接近して分析する科学者の活動は冒険者のようで、ヘリコプターで航空から温度測定して地中の溶岩の移動を推測する描写も知的好奇心をそそる。