「危険なお仕事 レソト編」は、南アフリカ共和国にかこまれて国土全ての標高が1000mを超える珍しい国家レソトで、さまざまな乗客や積荷を運ぶ運転手を紹介。
丈夫な日本の中古車が流れて使用されているレソト。保育園バスをタクシーとして、若い姉妹が客の争奪がはげしい都市部から山間部へと商売の場所を変えようとする。しかし斜面を横切る細い無舗装のけわしい道ばかりで、ハンドル操作を間違えれば転落しそうだし、すりへったタイヤはブレーキが効かない。あまりの恐怖に運転しながら笑い出したため、せっかくの団体客が降りて荷物だけを運ぶように指示したりする。そこにSUV*1に乗った親切な男がロープでつないでブレーキを助けてくれるが、どちらもタイヤを止めているのにずるずる砂利道をすべっていく。とはいえ姉妹は無事に下までついて、待っていた団体客を再び乗せ、まずまずの初日の稼ぎをえた。
山間部で使うガソリンを売ってまわるため荷台にドラム缶を転がしながら走る男も登場。ゆれるたびにガソリンが転がり下手をすれば爆発しそう。男も恐怖をまぎらわすため大麻を吸いはじめ、上司には秘密にしてほしいとスタッフに言ったりする。映像ソフトを買ったまま未試聴なままだが、まるで映画『恐怖の報酬』だ。
レソトの山は植物がほとんどない枯れた世界だが、その岩山が6月から雪で白くなるようなすごい情景も紹介される。その雪をかきあつめてスキー場が作られたりもする。アフリカで4つしかないスキー場のひとつだが、興味本位でたちよった冒頭の姉妹は靴のレンタル料すら出せない。見るからにすべっているのは白人ばかりで、観光客向けの値段だという。
「ヒグマの山からの脱出」は、米国アラスカ州の仲の良い男ふたりが、遊覧飛行を楽しんでいたら下降気流で墜落し、必死の脱出劇をおこなった事件を紹介。
ひっこすゲイリーのため氷山を見せてやろうと小型飛行機に乗せたデイブだが、いつもは行かない川を見ようとした時に下降気流で操縦不能となって胴体着陸。
額から血を流しながらゲイリーがめざめ、運転席で気絶しているデイブをガソリンがもれだした機体から運び出す。デイブは鎖骨と肋骨が折れていた。
ひとまず飛行機から信号弾などを確保して、上空から見ていた川を目指して移動しはじめた2人だが、ヒグマに遭遇。幸いにも気づかれずにすんだが、食べられたヘラジカを発見する。
さらに川にたどりついたが滑落して断崖絶壁の寸前でふみとどまったり、額が割れているどころか頭蓋骨にヒビがはいっていたゲイリーが他人がそこにいるという幻覚を見だしたり。
たまたま通りすがった飛行機に向けて信号弾を撃つが無視され、それでも歩きつづけた2人はたまたま山道をとおる自動車に遭遇して救出された。
……正直、あまり良いサバイバル例ではなかった。特に川に向かって移動することは典型的なNG例のはずで、実際にあったように滑落の危険が高いと聞く。スタジオでビートたけしが指摘するように、一方が幻覚を見ているので証言が信頼しづらいところもある。
「中国 生き別れた肉親を捜し続ける子どもたち」は、一人っ子政策により里子として売られた子供たちが、現代になってイベントで再会するまでを紹介。
1979年、貧しい莆田市では政府の政策もあって娘が不要になり、さまざまな家庭に労働力として買われていった。その家の実子が学校にかよえても、里子は労働を命じられ、今でも読み書きできない女性が多いようだ。
しかもそこでは結婚で男の家族が出さなければならない持参金を節約するため、里子にした女性が成長してから息子に結婚させていった。童養媳(トンヤンシー)と呼ばれる風習だという。兄のように思って育った相手と結婚したことに今でも抵抗感を語る女性たち。
そしてトンヤンシーが禁じられ、一人っ子政策が終わった現代、DNA鑑定などを駆使して親子を再会させる華やかなイベントが開かれるようになった。800組の家族が再会したという。
一人っ子政策の問題までは知っていたし児童労働までは予想できたが、そこに古くからの風習が最悪なかたちで結びついたことには唖然とした。検索すると新婦仔(シンプア)とも呼ばれている中国南部の風習らしく、台湾でも見られるという。
後悔して再会した家族には中国が豊かになった良い結果だとは思ったが、それでも番組で紹介された救済はあまりにも少ない……
*1:自動車の種類にはくわしくないので、正確には違うジャンルかもしれないが。
