OPが以前の主題歌にもどり、映像がリニューアル前後のさまざまな場面を編集したものになった。
「タヌキさいふ」は、のび太は父から白髪を抜けばおこづかいを出すと提案されるが、みみっちいからと拒否する。そして葉っぱが紙幣になるという秘密道具に安易にたよろうとするが……
原作者の生前は単行本未収録だった原作を、2005年リニューアル以降で初アニメ化。伊藤公志脚本、三宅綱太郎コンテ演出、嶋津郁雄作画監督という現状の標準的なスタッフが担当。
柿の葉が葉脈や虫食いまでしっかり作画されているところが目を引いた。紅葉や銀杏のようなはっきりした特徴がないので、少しでも視覚化するためだろうか。しかし複数枚の柿の葉が散る描写を、デジタルの助けがあるにしても手描き作画で見せてくれたのは良かった。
物語は基本的には、未来の道具で安易に金持ちになろうとしながら陥穽に落ちる、原作で典型的なパターン。ごっこ遊び用なので30分たつと葉っぱにもどるわけだが、タヌキに化かされる昔話を知っていれば誰でも予想できる。
あらためて見て面白かったのが、のび太は紙幣にする葉を集めることもせず、しずちゃんたちに集めさせて、葉でつくった紙幣を対価としてわたすところ。紙幣に変わることを知ったジャイアンたちが他人の庭に乗りこんで無理やり葉っぱを落とそうとしたり、勝手に対価の値段をつりあげたりする展開は、資本主義を風刺した寓話として成立している。いや、そもそも貨幣の価値が時間とともに消える虚構でしかないところも、投資経済などの戯画化といえるか。
アニメでのアレンジはしずちゃんが紙幣が葉にもどる驚きを強調するため、焼き芋を買おうとする描写を挿入したところくらい。季節感の強調にもなっている。そして柿の木がある主人の白髪をぬきにいくが相手が禿なので怒られるという原作どおりのオチだが、ここはさすがにのび太の行動にしても頭が悪すぎるので、もう少し説得力の出るアレンジをしてほしかった。
「ガキ大将に1票を!」は2011年のアニメオリジナルストーリーの再放送。先月末の衆院選の記憶も新しく、兵庫県知事選の開票前日という時期に放送されるからこその興味深さがある。
『ドラえもん』四角いドラえもん/ガキ大将に一票を! - 法華狼の日記
あらためて視聴すると、自分は立候補していないとしずちゃんが台詞で語っているので、説明はなくても「選挙ケン」が半壊したため誤動作したと感じられた。結末を記憶して再試聴したためもあるだろうが。
半壊した「選挙ケン」が黄昏時にひとり投票の呼びかけをおこなうカットがわびしくて良い。