冒頭のショート映像集はナレーションが指摘するように何度も試行したミラクル動画が目立つ。そうでない映像も、ちょっとしたトリックや、トラブルに見せかけて準備した可能性を除外できないものが多い。
「巨大モンスターフィッシュを探せ!」は、シリル・ショーケという男が巨大魚をつかまえる番組。今回は200kgもあるイタヤラという魚をつかまえる。
しかし番組をもりあげるためであっても、竿ではなく手で引っぱるという挑戦の価値がよくわからないし、それにつかうロープの強度を示すため3tの自動車を引っぱるのは視覚的な演出でしかない。開始1時間でつかまえたイタヤラは充分に大きく感じたが、わざわざ外海で時間をかけて釣りあげたイタヤラは手間をかけたほどの大きさには感じられなかった。
また、あまりにマヌケな選択から無駄な危険を呼びこんでいるように見えるのはどうなんだろう。同じように竿をつかわず釣ろうとして指が千切れた人がいたと聞かされていたのに、手袋をわすれてロープも細すぎるものをもってきたことに海で気づいて漁を続行したり。たよった漁師にあおられてサメのいる海で群れを追いたてることになって、案の定オオジロザメに接近されてあわてて浮上したり……
何より魚と格闘することを楽しむばかりで、その魚の特色や、食材としての位置づけがまったく紹介されなかったことも気になった。釣りや狩りそのものを楽しむ文化は好みではない。
「5人の技術者が氷河から脱出」は、英国からあつめたエンジニア5人と冒険家1人が、氷河から6日以内に人のいるところまで脱出するチャレンジをおこなう。
まるで実際に不時着したような小型飛行機の残骸と、周辺に落ちたエンジンだけ動く壊れたスノーモービル2台を活用して、表現から道路まで6人が脱出できるまでを映す。
極寒の夜やブリザードは飛行機の内部ですごし、スノーモービルを合体して6人を乗せられる自動ソリをつくる。お約束な意見の衝突もあれば、勝手な計画実行もある。原理的には与えられた状況で生存し移動する道具をつくっていくだけだが、自然のブリザードのはげしさはなかなかのもの。
終了後にスタジオで北野武が撮影クルーのいる心理的安全性を指摘していたが、たしかに厳密には「サバイバル」ではないものの、極限状況で限られた素材をつかって移動するチャレンジとしては成立しているだろう。
「インド ヒーラーかペテン師か?」は、インドの占い師のような存在「ババ」のなかでも悪質な詐欺をはたらく者たちを追及する慈善団体インド合理主義者協会の活動を追う。
出てくるババの詐欺は典型的なコールドリーディングやホットリーディング、あるいは手品をつかったパフォーマンスと古典的なものばかりだが、現代日本でも通用することを思えば他人事ではない。政治家も信奉させ警察も賄賂でだきこみ、巨大遺跡のような邸宅をたてたババなどは、もはやカルト組織の教主のようだ。
対応する慈善団体も、ただ詐欺と教えるだけでなく手品をつかったパフォーマンスで対抗する。そのようなオカルティックな存在が詐欺をはたらく問題だけでなく、オカルティックな存在と村長に指弾されて被害を受けた女性の救済にも動く。しかしそうしたオカルティックな詐欺が普遍的であるからこそ、解決しがたい問題であることもつたわってきた。