ひさしぶりに前後とも新作で、原作者生前は単行本未収録だった後期短編のリニューアル後初アニメ化。脚本も両方とも村山功が担当。
また、どちらも衝撃を受けた時に描線を一瞬荒く変える手法をおこなっているところが目を引いた。現監督の方針だろうか?
「22世紀の手作りおもちゃ」は、ジャイアンに貸しているラジコンの調子が悪いので、のび太に故障の責任をとらせようとスネ夫が思いつく。喜んで貸してもらったラジコンを行方不明にさせて責められるのび太だが……
先述のとおり単行本未収録だった後期短編のアニメ化。コンテの三宅綱太郎はリニューアル後のメインスタッフのひとりだが、演出の池野華乃や作画監督の堀江佑は近年のスタッフ。
キャラクターがからまない、秘密道具の機能描写でもない情景カットを何度も挿入するところが最近のこの作品では珍しい。のび太に昔の手作りおもちゃを教える老人をロングの俯瞰で見せたり、全体的に客観的なコンテになっている。物語の最後に老人を登場させる小さなアレンジも、客観化という一貫性がある。
物語としては冒頭のジャイアンとスネ夫の策略をのぞいては展開に工夫がなく、昔の手作りおもちゃを未来技術で再演して見返すだけなのだが、これくらい絵作りが工夫されていると独自の味わいがあった。
「にっくきあいつ」は、しずちゃんが結婚を夢見ている相手がいると知り、のび太はやきもきする。秘密道具で透明になって見に行くと、その相手は美青年の家庭教師だった。学習よりもスキンシップを楽しむふたりだが……
演出の熨斗谷充孝は作品初参加。2000年ごろからさまざまな制作会社で演出を手がけたベテランだが、監督としては近年にウェイブが制作する、いわゆる「僧侶枠」なエロティックなショートアニメばかり手がけている。今回の物語と関連した登板といえなくもない。
また、キャラ設定やキャラ作監こそ日本名のスタッフがならぶが、作画監督も原画も海外ばかり。冒頭の煽った構図のしもぶくれ顔などに少しクセは感じたが、全体的に悪くはない。
物語は、犬に追いかけられる映像として楽しいパートを追加している以外は、ほぼ原作どおり。だからこそ、家庭教師に飲ませるものをドラえもんが取り出す時、のび太が笑顔で「毒薬?!」とたずねる台詞も忠実なことに驚いた。もう20年以上前になるが、2005年にリニューアルされた当初はどのような機能でも薬のような秘密道具が改変される自主規制がおこなわれていたというのに。ついに台詞だけとはいえ毒薬を飲ませようとするブラックなギャグを描写するまでになったか。