今回は一部内容を変更し、OPが飛ばされただけでなく、珍しくED直前にCMが入る変則的な構成。亡くなった大山のぶ代*1に感謝をつたえるテロップとナレーション、そして2005年以前のドラえもん名場面集がED後に流れた。
「飛べ!しずかちゃんのロケット」は、さまざまなロケット会社が生まれて宇宙が近くなったという話がクラスで語られ、しずちゃんは宇宙に行く夢を語る。そこでのび太は彗星を見るためのロケットを出してもらうが、しずちゃんはなぜか不満そうで……
村山功脚本、森山瑠潮コンテ演出のアニメオリジナルストーリー。『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021』に参加していた石垣純哉がデザイン協力としてクレジット。
演出助手もいるとはいえ、原画でもクレジットされている森山瑠潮の絵作りはなかなかいい。特にロケット発射シークエンスが素晴らしく、噴煙の細かさと噴推炎で照らされた影が見ごたえあった。
物語については、シンプルなデザインのロケットをしずちゃんが「ワクワク」しないと評して、途中で登場したドラミも「古臭い」と批判する、それこそ古臭いジェンダーバイアスを感じさせる展開に引っかかりをおぼえた。村山シリーズ構成の少女向けアニメ『スター☆トゥインクルプリキュア』は、最終回で成長した主人公がリアルな宇宙飛行士になったのに*2。
たしかに原作でも『大長編ドラえもん のび太の宇宙小戦争』の映画撮影パートのように、男のロマンを共有しないキャラクターとしてしずちゃんを配置することはよくある。しかしそれは男側の勝手な思い入れを否定する役割りがあり、しずちゃん自身は実はそれほど少女趣味ではない。殺風景な宇宙船内に花を欲しがるのは、やや解釈違いだった。
とはいえ出木杉に船内に花があると打ち上げ時に危険と指摘されて納得し、本当になりたいのが宇宙飛行士ではなく工業デザイナーと理解されてからは、装飾だけではないデザインもおこなっていく。
船内は壁紙で印象を変えつつ、宇宙観光を重視して窓を大きく、照明は弱く。無重力を楽しめる部屋や天体観測できる部屋も用意する。ケーキのようなデザインの外装にスペースデブリの衝突をやわらげる機能もつけたりして、最終的にはこれはこれで悪くない物語かな、と思えた。
ロケットを作るため原作の秘密道具メカメーカーをつかい、その材料につかうためにスペースデブリの存在を先に説明しておいたり、ドラえもんのロケットを材料につかったことでオチでドラえもんが驚いたりと、しずちゃん以外の構成部分はよくできていた、
ちなみにEDで登場した現実の工業デザイナーはトヨタにつとめる女性の車体デザイナー。こちらは要求にあわせるように、一般的な自動車のスタイリッシュさをつきつめたようなデザインで、男性視聴者としても素直に格好いいと思えた。
「おおかみ男クリーム」は2019年の再放送。寺本幸代コンテ回で出来は悪くないのだが、この原作は2005年以降に3回もアニメ化しているので、わざわざ再放送しなくてもいいのではないかな……
『ドラえもん』ドラかぐや、月に帰る!?/おおかみ男クリーム - 法華狼の日記