法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』

 漫画家の岸辺露伴が骨董屋にたちより、模造品を売買していることを喝破する。そして超常の力で黒い絵の情報を知った露伴は、オークションに参加する。それは最も黒い色を探求するためだったが、特に価値が高いわけでもない絵をめぐって争いが始まり……


 漫画を原作とする2023年の日本映画。『岸辺露伴は動かない』シリーズをNHKでTVドラマ化したスタッフが、シリーズの同名中編を映画化。プライム会員向け見放題の他、NHK地上波でもノーカット放映された。

 約2時間たっぷりかけて、時系列を前後しながら「黒い絵」をめぐる事件と謎解きを展開していく。映画オリジナルの模写をめぐるトリックと推理はよくできているが、解決編が早すぎて終盤の歴史パートが長すぎた感はある。中盤も間延びしている。この内容なら1時間半くらいの尺がちょうど良いだろう。
 また、回想パートは夢か現か判然としないところがあるとはいえ、時系列に疑問をおぼえたところもあった。露伴へ黒い絵の存在を教えた女性はそれがルーヴルにあると語ったが、回想シーン全体を見ると実はそのころ黒い絵はすぐ近くにあったはずだ。外国人が黒い絵をひきとりにきたとおぼしき描写を回想シーンの最後ではなく、冒頭にもってくるだけで時系列がきれいに整理できると思うのだが、なぜそうしなかったのだろうか。


 実際にルーヴルでロケした部分や、少ないながら要所で見せる精緻なVFX、何より実際に映像で正面から映して説得力がある「黒い絵」は素晴らしかった。
 しかし絵作りは残念ながらドラマレベル。カメラが被写体に近すぎるし、カットも割りすぎている。外国ロケも予算がついた劇場版で観光パートを入れたような、短いわりに必然性を感じないカットが多い。