「へたうまスプレー」は、宿題の絵がうまく描けないのび太が、下手でもいいというドラえもんにまで笑われてしまった。くさるのび太が空き地にいくと、ジャイアンが歌の教室をはじめることを知る……
2007年に映像化された後期原作をひさしぶりにリメイク。リニューアル直後にしてはアレンジが強めだった2007年版にくらべると、かなり原作に忠実な内容。
下手な絵が登場するエピソードだからというわけでもなかろうが、かなりキャラクター作画が平面的で、しかも微妙に上下にひきのばしたような違和感がある。それなのに作画監督と別にキャラ作監として長島崇がクレジットされている謎。
それでいて劇中ののび太の下手な絵が、きちんとムラなく彩色されていて、無理に下手っぽく描いたような説得力のなさなのが難。原作の下手な絵はちゃんとドラえもんが嘲笑してもおかしくない下手さに見えたのに……
「交通ひょうしきステッカー」は、ジャイアンのきげんが悪いとスネ夫に忠告されたのび太だが、無視して直進してジャイアンにねらわれてしまう。そこでドラえもんの秘密道具をつかってジャイアンの行動を制限するが……
単行本に未収録だった作品を2005年リニューアル以降で初アニメ化。コンテ演出はパクキョンスン。
演出段階で手を入れているのか、前半とキャラ作監の長島崇は共通するのに作画は悪くない。のび太が家に逃げこむ時、一瞬行きすぎる動きなどは感心した。
本筋は原作どおりで、交通標識の種類を増やしているくらい。子供だけで自動車の交通ルールを追体験する面白味があり、良い意味で学習漫画のようなていねいな映像化だった。
しかしテロップで標識の意味を説明するのは良し悪しか。本編でよくテロップをつかうのは小倉監督体制からで、あまり好みではないが、今回は状況説明のため許容できる範囲ではある。