『相棒 season21』第17話 定点写真

イベントをおこなうと称して多くの人々から金銭を騙しとっていた男が殺された。その現場の事務所は雰囲気ある建物で、以前から定点写真の題材にされて
SNSで注目されていた。その定点写真を撮っていた少年は、なぜか死体の発見時ではなく事件の当日から写真をアップロードをやめていた……

櫻井智也脚本、寺田心主演の写真を撮る人々をめぐるストーリー。ループするような日常のなかで変化を確認する主人公に押井守監督のアニメ映画『スカイ・クロラ』を思い出す。

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残念ながら登場人物の行動の裏に隠された動機にほとんど見当がついてしまって、謎解きミステリとしては楽しめなかった。イベント業者に授賞式でくってかかる女性写真家という描写から、自分自身のためなら隠れて訴えるだろうと想像できてしまうし、やはり真相は想像の範囲内だった。内心や背景が読めなかったのは女性写真家のマネージャーだけで、しかし行動が小物なので意外性を感じづらい。
写真という表現にすべてを賭ける人々が資本主義におどらされて転落していくドラマとしては悪くなかったと思う。その雰囲気をつくるだけの劇中写真の説得力もあった。しかし、その意味でも女性写真家の師匠についても何らかのフォローがほしかったところ。ずっと表現者としては卓越していて、弟子のためにも協力をおしまず、小市民的な善良さもある人物として描かれているのだから。