法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『デリシャスパーティ♡プリキュア』第37話 ひそむ怪しい影… あまねの文化祭フィナーレ!

クッキングダムに拘束されて情報を流しかねないナルシストルーを、セクレトルーが始末しようと動く。しかしそれを逆用してナルシストルーは監獄をぬけだした。出てきた場所は、プリキュアたちがかよう学園のすぐ近く。学園では文化祭がひらかれていて……


金子香緒里脚本回。制限された状況で技術力のあるナルシストルーが好き勝手してみせるクライムコメディとしては面白かった。なんでもひとりでやってしまうキャラクターは組織の幹部としてより、その組織からも捨てられた逃亡者の立場でこそ輝く。
始末しにきたドローンをつかまえて逃亡のための素材につかったり、ドローンを転送させた技術でクッキングダムから逃げ出したり、変装して文化祭にまぎれたり……基本的に組織の指示で組織の目的を段取りでこなしていた過去回より魅力的だ。
それでいて、ひょんなことから教師とかんちがいされ、プリキュアから隠れるため他人の機械をなおす展開で、自尊心の高すぎる孤立したキャラクターに周囲とふれあう意味を教えていく。かんちがいしたのが学校の部外者な菓彩兄弟というところも細かく説得力をあげつつ、後述の伏線としても機能している。文化祭という状況設定のため、普段は学校ではつかわなそうな機械がそこにあっても違和感がない。
そして機械修理の流れが自然にドラマになじむよう描けていたからこそ、その機械が菓彩生徒会長の退任をいわうクス玉を動作させるためのものという真相におどろいた。悪の組織をぬけた元同僚が仲間に祝われることにナルシストルーが意図せず参加する構図も、ドラマとして意味が生まれている。


しかし、ただの飴と思ってリンゴ飴を食べたなら、ただ味を気にいらせるのではなく、中にリンゴが隠れていることに驚かせるべきではないだろうか。
おそらくこの番組は幼い視聴者に食べ物への先入観を植えつけないため美味い不味いといった表現をさけているのだが、それが食べ物へのリアクションの種類を減らしていてテーマの印象を弱め、前回*1のように食べ物の評価で具体的な言葉をつかえない結果をまねいているのかもしれない。
今回の他の場面にしても、ラーメンのスープをパンや白米にあうようにしたと説明するなら、たとえばコンソメをベースにしたといった具体性を増す描写にもできただろう。