法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第5話 氷の瞳に映るのは

スレッタはエランのことを知りたいと思い、デートのさそいを受ける。そのデートはエアリアルに同乗するというものだった。しかし単独でエアリアルに搭乗して調べたエランは、スレッタをつきはなす……


大河内一楼シリーズ構成が連続で脚本を担当することは珍しくないが、絵コンテは3人の共同とはいえ監督の小林寛がクレジット。他にコンテを担当する江上潔と綿田慎也は、それぞれ演出と演出協力でもクレジット。
さらにキャラクター作画監督西村博之ひとりで、2回の決闘にデートのようなメカ描写の見せ場が多いのにメカニック作画監督は松田寛と倉本和希のふたりだけ。
PROLOGUEの時点ではキャラクター作画監督は多かったが、その何人もが今回の原画に参加している。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』PROLOGUE - 法華狼の日記

キャラクター作画監督は現代アニメらしく多いのに、今回は後半まであまり動かないとはいえ精緻なメカニック作画監督がふたりという体制が珍しい。

さすがに原画や動画の人数は多いし、メカニックは線が少なく撮影のグラデーション効果に頼り気味だが、リソースを必要とする作品にしてはメインを少人数でまわせている。
分割2クールになったように実際は無理をしているのかもしれないが、それでも修正に追われて必要以上の労力を投入するよりは良い方向性なのかもしれない。


物語の本筋は、人工的に強化された少年と明かされたエランが、似ていると思ったスレッタに近づき、失望して離れるというだけ。そこに他のキャラクターがそれぞれの立場でスレッタとエアリアルのことを知ろうとして、少しずつ設定が開示されていく。
しかし悲しむスレッタを見て、父親の命令をふりきってグエルが決闘することで、学園青春アニメらしい清々しさがあった。今回はエランとそのガンダムの強さを表現する踏み台としてグエルが敗北したが、大人に呪われた子供たちの鬱屈だけではないドラマがそこにあった。
ただ、エアリアルという機体の謎を解くように物語が進んでいることで、逆にエアリアルの活躍を毎回に描くことが難しくなっているのは『革命機ヴァルヴレイヴ』と同じ難点だな、と思った。『装甲騎兵ボトムズ』のように主人公の機体はありふれた道具に位置づけたほうが、むしろどのような物語でも活躍する局面をつくりやすい。