法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

Colaboの不正受給を指摘しようと暇な空白氏が想像したシェアハウス見取り図が、推理小説に出てきそうな非現実感

「間取りは正確にはこうでしょうね」と推測ということは明らかにしているが、それにしても公開された写真を見てきたひとりとして困惑するしかない。

窓が片面ふたつしかないのは、アパートの一室と思っているのだろうか。茶色の細い長方形が出入り口だとして、リビングが「極狭」ならキッチンを分割する意味は何だろうか。

もちろん風変わりな間取りの家は現実にも多々あるわけだが、暇な空白氏*1の推測は事実の検証とは異なる欲望が先にあるようにしか見えない。


上記の見取り図に対しては、すでに弁護士の堀新氏*2が他の写真をいくつか提示して、暇な空白氏の推測では確定できないことを指摘している。

暇な空白氏の主張を見ていくと、9月9日の見解を複数人から報告書の誤読を指摘されても修正せず*3、9月26日まで延長しただけのようだ*4
Colaboと仁藤夢乃さんの生活保護ビジネスについて調べてみました(ver1.4 9/13更新)|暇な空白/Kiyoteru Mizuhara|note


空「Colaboの2018年活動報告書もこの通り、シェアハウスをはじめましたといってこの部屋の写真がでてくる。この3人で倉庫の横で寝てる部屋は、Colaboの公式資料でColaboのシェアハウスだと確定です。この写真では右側の倉庫がわからない構図で撮ってて巧妙ですが」

Colaboと仁藤夢乃さんの生活保護不正受給を調べてみました|暇な空白/Kiyoteru Mizuhara|note

な「えっ?別にコロナ禍でもそれぞれに個室がある3LDKの物件ならそれぞれの個室にこもればいいのでは?1物件の定員を2人にする必要はないですよね?」

空「あとこれ不正受給だよね。ウシジマくんとかの漫画でも、一応1人1室を守るためにこういう生活保護ビジネスって個室用意されてたんだよ。それ以下ってウケる(笑)事実はウシジマくんよりエグい(笑)この活動報告書の「鍵付き個室が3部屋あります」も嘘でしょ多分。そう書かないとアウトだからね」

先述したように9月9日のnoteからして報告書の一時保護シェルターと中長期シェルターを混同しているわけだが、9月26日のnoteでは共同生活をしているという報告書の説明を無視している。
https://colabo-official.net/wp-content/uploads/2019/07/2018colabo.pdf

入居者の主体性を尊重し、ルールは毎月のミーティングで一緒に決め、食事やゴミ出しなどは自分たちで行います。

「シェアハウス」で感染をさけるため人数を制限することに何の不思議もない。逆に公的に虚偽の説明をおこなって「タコ部屋」に何人も入れる団体であれば、感染症でひとり一室ずつにわける判断が不思議になる。
もし暇な空白氏のいうようにColaboが不正を計画したなら、なぜ形式的に虚偽をさけるため最初からリビングも個室につかわないのか、なぜ現在もキッチンは個室としてつかわないのか……暇な空白氏は、不正する可能性と不正をしない可能性を違う時期に当てはめ、矛盾を見いだしているにすぎない。
id:lastline氏などはColabo側の情報公開が少ないだけのように主張していたが*5、暇な空白氏は情報公開の不足をとがめているわけではない。書いていることを読まず、書いていないことを読みとり、非現実的な読解を根拠に「不正受給」と主張しているだけだ。
さすがに9月26日になると過去のnoteに同調していたようなアカウントも距離をとりつつあるようだ。しかしその主張は9月9日時点から連続しているとおり「検証」の精度が落ちたためではく、さまざまな論点で批判されながら反論や修正をおこたった結果だろう。


ちなみに、暇な空白氏が「検証」している中長期シェルターに個室が少なくともふたつ以上あることは、すでに公開情報から明らかといっていい。
中長期シェルターを新設するため2017年にクラウドファンディングをおこなった時、個室の写真もふたつ掲載されているのだ。
虐待や性暴力被害を受けるなどした女子を支える「中長期シェルター」を増設したい! - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)

(鍵付きの個室3部屋)

床材の向きや壁の構造、エアコンの配置、窓の向きから、違う個室ということがわかる。それぞれ同じページで紹介されているリビングやキッチンとも異なる。

(リビング・キッチン)

ついでにキッチンに窓が確認できることから、暇な空白氏の見取り図が他にも間違っていることが確定する。
それこそ推理小説ならば、カーテンの向こうには窓が存在せず、撮影ごとに壁材や床材を変えて一室を違う部屋に見せかけている、といったトリックを考えられなくもないが……現実的ではあるまい。

シェルター設営のためリフォームをおこなっているので、その途中であればトリックをしかけることは通常よりは簡単だが、実はそのリフォーム途中の写真もクラウドファンディングで4枚公開されている。

2枚は違う角度から同じ場所を撮影しているようだが、窓の大きさや高さなどを見れば、一般的な一軒家くらいの広さがあることはうかがえる。


もちろん外部からの推測には限界がある。DVを逃れるシェルターでもあるため、Colaboはシェアハウスの場所や外観を公表していないし、窓の外も映らないよう配慮している。
むしろ、いくら支援を求めるためとはいえ、現時点でも広く公開しすぎという印象すらある。これも支援事業で一般的によくある葛藤だろうし、さすがに責められるべきではないが。
とはいえ秘匿を期待できるマスメディアの取材を受けいれることはある。公式サイトの「私たちの活動」ページで紹介されているTBS番組には、ひとりの個室が紹介されている。
私たちの活動 – 一般社団法人Colabo(コラボ)

www.youtube.com

他の個室は映っていないようだが、2019年時点でも「タコ部屋」のようには見えない。冒頭の移動する一瞬だけでも、暇な空白氏の見取り図とは印象がかなり異なる。
個室がひとつしかないことがColaboの説明と矛盾することに取材者が気づかなかった可能性はあるだろうか。その場合は逆に、取材者が気づかないことをColabo側が期待して取材を受けいれる思考が不自然になる。
容疑者の視点で考えることができない時点で、暇な空白氏は名探偵にほどとおい。

*1:はてなアカウントはid:kuuhaku2

*2:暇な空白氏の主張する「疑惑」に対して、NPO法人が特定の政党を支持することは珍しくなく、なかには代表理事が国会議員だったものもあることを指摘したりしている。

なお最近、暇な空白氏にブロックされたためブロックを返して、話題は終えたとツイートしていた。

*3:弁護士の太田啓子氏に対して9月22日時点で「こちらの記事を一読していただけますでしょうか?」と提示している。

一時保護シェルターと中長期シェルターを混同していることは、こちらのエントリの中盤以降で指摘を紹介している。仁藤夢乃氏の支援団体Colaboがバスカフェで提供している食品が一食2600円という計算は、さまざまな意味で誤っている - 法華狼の日記

*4:むしろ、はてなブックマークの暇な空白氏本人の「間取りを直しました」というコメントやid:snow8-yuki氏の「追記修正されてL字型の間取りからバス・トイレが追加されて四角になってる」というコメントによると、むしろ現在でも修正されていることに驚かされる。[B! colabo] Colaboと仁藤夢乃さんの生活保護不正受給を調べてみました|暇な空白/Kiyoteru Mizuhara|note

*5:lastline氏は、特定の支援事業が標的にされた時、少ない情報で断言することの是非を考えられなくなるらしい - 法華狼の日記