法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』不思議な橋SP

中盤でスタジオに登場した橋梁専門の写真家、依田正広の紹介する東京の橋はたしかにどれも見た目から面白い。さすがプロの知識と視点は違うという感じがあった。


ボーダーセキュリティーは米国とメキシコの国境にある28の橋を警備を紹介。橋の一方の通行を止めて、中間地点で犯罪者をメキシコにひきわたす場面は映画『ボーダーライン』を思い出す*1

しかし反対車線から襲撃されたり、そこで民間人に被害が出かねない緊張感がありながらも、ひきわたしは無事に終わる。
むしろキャンピングカーのようなトラックにスピーカーなどを満載していた男が、無理やり荷台を開けたが何も出てこず、荷物をもとにもどそうとして崩された冤罪エピソードが印象に残った。


英国からは、ロンドンにあるウォータールー橋で6年前に自殺をこころみたベンジャミンが、回復した現在になって当時に説得してくれた謎の男マイクをさがす活動を紹介。
TV番組に出演してうったえたりSNSで話題になることで、1日目で38人ものマイクの情報がよせられた。予想したように数人は目立ちたがりの偽者らしかったが、大半は実際に人命を助けた人々だったという話におどろかされた。頭から疑った自分が恥ずかしいし、仲谷鳰の短編漫画に掲載された一編を思い出す。

友人からつたえられた情報で6年前に自殺を止めた男マイケルに会いに行ったが、助けたのは別人だと思うとマイケルに指摘される。助けてくれた人に再会する難しさを描いたドラマとしては苦しいが、他人を助けようとする人が多くいることを知っていくドラマとしては心がふるえる。
そして実際に助けてくれたらしい人物に再会できたが、まったくマイクと関係がある名前ではなかった。そもそも助けられた当時は精神が病んでいたため、ベンジャミンは記憶を思い出したくなかったのだ。それでも再会から一気に記憶がよみがえっていく姿で、本当に救われたのだと感じられもした。


フィリピンからは、半世紀前からあるツルだけでできた橋をとおって学校へ行く子供と、その橋を定期的に修復する大人たちを紹介。
ツルだけでつくった橋は世界的には珍しくなさそうだが、政府が1998年に丈夫なワイヤでつくった吊り橋は台風で流されて再建されないままなことや、さまざまなツルのなかで橋につかえるのは1種類だけなこと、そのツルが育つには20年かかるのでこのままでは橋の再建ができなくなることなど、さまざまな角度から現代文明を象徴する存在として橋が位置づけられていくところが興味深かった。

*1:国境の渋滞で展開される銃撃戦がすごかった。