法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ジュマンジ/ネクスト・レベル』

悪夢のゲームクリアから2年たち、それぞれの生活がある若者4人。しかし1人が姿を消したため、調べてみると捨てたはずのゲームが修理されていた。その1人を救出しようとゲームを起動したところ、家にいた老人2人も巻きこんでしまい……


2017年の『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル*1につづいて、2019年に公開されたシリーズ3作目。公開年と作中の時系列を一致させている。
土曜プレミアムの地上波初放送で視聴した。2時間半ほどに枠を拡大していたので、おそらく本編のカットはほとんどないだろう。
映画「ジュマンジ/ネクスト・レベル」 - フジテレビ
WEB小説から飛躍した『ソードアート・オンライン』以降の日本のVRMMOでは排除されがちな、現実とは大きく異なるアバターを設定して変身願望と位置づけつつ、けして全否定せず解放感を描いたところが良かった。肉体が衰えている老人ふたりが巻きこまれる導入も、その展開を支える。
さらにアバターをシャッフルするポイントを設置。『君の名は。*2のように美女の肉体に喜んで調子に乗る青年を描いたり、性格にあった肉体を選びなおして攻略しやすくしたり。アバター設定をギャグとしてもドラマとしても使いきる。


全体として動物の3DCGは不自然で、動く吊り橋や飛行船のモーションも現代ハリウッド大作とは思えないが、仮想ゲーム内の描写ということで意図的な手抜きではあるのだろう。
人肉を獣に食べさせたり、そもそも動物に殺される描写が血しぶきのような赤色混じりで粉々になるという残酷さを、仮想ゲーム内の描写だからと堂々と映像化する挑戦もおもしろかった。もともと映画自体がフィクションなのに、フィクション内フィクションという枠組みを足すだけで許容される度合いが大きく変わることが興味深い。


ただ、今作は何度も忠告を無視しては残りライフを無駄にして、途中からは登場人物の学習能力のなさに疑問を感じるようになった。ユーザーがキャラクターをコントロールするため失敗も納得しやすい本当のゲームと違って、映画の登場人物の下手な失敗は感情移入や共感をさまたげてしまう。
もっとも、前作は残りライフをギリギリまで物語で活用して、それはそれで作為が目立っていたので、その反省で今回のような無駄展開にしたのかもしれないが……もう少し伏線のしっかりした攻略は見せてほしかったところ。先述のアバターシャッフル以外は、基本的にNPCに提示された説明を予言詩のように解釈する場面が目立った。