法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『幽幻怪社』

1994年から1995年にかけて全4話で販売されたOVA。『魔物ハンター妖子』等の六月十三の原案にもとづき、マッドハウスが制作した。

バブリーな女性、如月妖華が退魔師として活躍。ちょうど似たビジュアルの長期漫画『GS美神 極楽大作戦!!』の連載中盤ごろ、TVアニメ版の終了といれかわるように発表されている。

全体としてバブルの終焉後らしさを感じる作品。1話はバブル時代に外国から買いこんだものに西洋妖怪がとりついていたネタだったり、連絡手段としてポケベルと公衆電話をくみあわせたり、4話でアンナミラーズ調のファミレスが喫煙席と禁煙席にわかれてファミレス宣材のマッチがあったり、時代の端境期を感じさせる。
赤字経営にぼやきながら浪費してしまう主人公も、いかにもバブルを忘れられない社会人といったところ。前例の『GS美神』に比べて登場人物の誰もが悪い意味で常識人で、娯楽として刺激が足りないのが難点。
全体としてクオリティは安定しているが、作画もまた刺激が弱め。アニメーターの暴走が少なく、物語にそった必要最低限の仕事をていねいにやっているだけ。とはいえ第2話は出色で、うつのみやさとるや西田亜沙子など、個性が出すぎない範囲で良い仕事が見られる。第4話もうつのみやさとるパートはボリュームが多く、それ目当てでそこそこ満足できるつくり。
また、OVA本編前に販売され、DVDでは特典映像として収録された本谷利明のイメージボードは良い感じ。織田無道キャラクターの登場に時代を感じるが、けっこう本人もゲスト声優として達者だった。