法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 season20』第15話 食わせもの

繁華街で刺殺体が発見され、とあるアパートでは転落死体が見つかる。そのアパートはセキュリティが甘く、それを利用して麻薬のうけわたしがおこなわれようとしたが……


山本むつみ脚本。以前のエピソード*1で登場した詐欺師が出所して、管理人としてはたらいているアパートでの思惑いりみだれる事件を描く。
管理人がすぐやめる逸話は、劇中で語られたとおり前科持ちでも管理人になれる説明でしかなかった。杉下が思わせぶりに怪しんだ転落死も、別事件をたまたま表面化させた無関係な自殺でしかないらしい。さすがに物語の都合にあわせて偶然が集中しすぎではないか。スケボーで暴走する若者や、押しの強い女性住人も、計画の邪魔になったり偽装に利用されたりさまざまに活用されてはいるが、やはり思わせぶりなレッドヘリングの域を脱せていないように思える。
同じプロットなら、いっそ各話30分の全6話くらいのアパートを舞台にした群像劇にして、住人の違う表情も見せてキャラクターを立てながら複雑な事件へと展開していけば、見ごたえある連続ドラマになった気がする。登場人物が多いからこそ、尺の割りに描くべき必要最低限の伏線が多すぎ、早々に麻薬を横取りした犯人に見当がついてしまった。
1時間枠のドラマとしては密度が濃く、挑戦的なプロットをしていること自体は良かったし、最後の犯人が指摘された後で被害者がかばおうとする展開は杉下がいうように予想を超えてくれたが……

*1:こちらも山本むつみ脚本で、詐欺師の行動が別の犯罪を結果的にあばく構成も同じ。 hokke-ookami.hatenablog.com