法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『トロピカル~ジュ!プリキュア』第45話 やる気大決戦! 輝け!トロピカルパラダイス!

自身を怪物化させたバトラーと、プリキュアの決戦がはじまる。かつて魔女が使役していた怪物コワスンダーはヌメリーやエルダ、チョンギーレが露払いしてくれた。しかしバトラーにはプリキュアの技がきかず……


第1話以来の土田豊シリーズディレクターコンテに、板岡錦作画監督。かなりシーンごとカットごとのアニメーターの個性を許容するつくりで、密度の濃い展開を楽しませてくれた。
今回の板岡錦はけっこう原画もがっつり描いている様子。キュアフラミンゴのアクションは、芳山優原画だろう中抜き作画が迫力満点。あえてなめらかではないアニメートは1980年代スタイルで、フォルム重視かつハイライトの多い美麗な絵柄は現代的スタイル。その流れでプリキュアを助けるように戦う敵幹部の予想外の強さに笑ったし、本当にいつもの出撃は「やる気」がなかったんだなと実感できた。
以降も必殺技やぶりなどをふくめて充実した攻防が展開される。全編アクションにてっした第29話*1ほどではないが、ちゃんとクライマックスの総力戦らしい映像が楽しめる。
光がささない海の底でプリキュア自身が光るという普通なら情感あふれるシチュエーションを、あえてキュアパパイアの目ビームで作ってギャグ化したところも笑った。前回のキュアオアシスの必殺技が象尻プレスだった異様さを超えて、すべての決着をつける新必殺技の、まるでパチンコ演出のようなシュールぶりも、この作品の雰囲気にはあっている。

自己のやる気をささげることも失敗し、しなびたバトラーのあわれさ。そしてそんなバトラーをつきはなしつつ仲間としてつきあっていく敵幹部の人間模様もいい。ビジュアルとして全世界が災害にみまわれるディザスターを描きつつ、スケールの小さなドラマと齟齬を感じさせず、過不足もなく話がまとまった。


そして長いAパートが終わった後、日常にもどったBパートでテンポ良くイベント前のあわただしく楽しい時間がすぎていく。
白鳥百合子ひとりが滝沢たちが世界を救ったことをかんづいているが、問いただしても白を切られる関係性が、周囲とくらべて大人びた雰囲気がある。
そして人魚と人間の定番の別離を予感させつつ、その選択のドラマは次回につづく……

*1:2021年の話数単位ベストテンに私選もした。 hokke-ookami.hatenablog.com