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最初に図書館で『サスケ』にふれ、途中の巻が抜けていたものの普通に楽しんだ。
『少年ジャンプ』作品などと比べれば古臭い印象だったが、シンプルで巧みな絵は時代を超えて魅力的で、荒涼としつつ前向きな結末は忘れがたい。
その後、何かの漫画評論で絶賛されていた『忍者武芸帳』を読み、密度が高くもトリッキーな展開を娯楽活劇として楽しんだ。
アニメ化もされた『カムイ外伝』の印象はあまりなく、『カムイ伝』第一部の底辺に押しやられた人々の群像劇が思い出深い。
序盤に使い捨てられた復活ネタに雑さを感じたり、意味ありげに描かれた動物の闘争が本編にからまなかったりと構成は粗かったが、第二の主人公として主軸となった正助の物語は力強い。
農村を守り育てていく若者という構図は地味なようで発展の面白さがあった。現代でいう「なろう系」の内政物が娯楽として普遍性がある証左といえるかもしれない*1。
その共同体作りがむかえた第一部の顛末によって、変化をゆるさない社会の難しさや、運動は敗北の可能性をおりこむべきと実感した。
*1:ただ、だからこそ後続作品には前例をふまえた発展や逆転を期待して、外されてしまうことが多い。