漫画『ルックバック』が精神疾患への偏見を感じさせかねないという論争について、「東北ずん子」企画で知られる榊正宗氏がひとりの当事者として記事を書いていた。
note.com
その本題たる漫画とその描写については当時に私なりの感想を書いたこともあり、特に深入りはしない。
hokke-ookami.hatenablog.com
少し気になったのは、先行して精神疾患を描いた漫画『ブラックジャックによろしく』と「風のハルキゲニア@hkazano」氏のツイートを榊氏が紹介しながら、関係性について言及がないこと*1。
閉鎖病棟の描写は、マジで細部まで同じでした。名作ですので、一巻から全部読むことをオススメしますが、閉鎖病棟のエピソードだけでもぜひ読んでみてください。
www.sukima.me
かなり長いので、漫画を読むのはあとで結構です。
ツイッターに下記のような投稿がありました。このアカウントの方は、精神科医だそうです。
精神科医兼ものかき。カレーを食べる人。式場隆三郎研究家。『島田清次郎 誰にも愛されなかった男』(本の雑誌社)で日本病跡学会奨励賞受賞。「本の雑誌」で「サイコドクターの日曜日」連載中。島田清次郎bot @ShimadaSeijiro
運営中。ルックバックの件、これは統合失調症患者が身近かどうかでだいぶ印象は変わると思うのですね。私は、初読の時に、あ、これは嫌な描写だな、と感じたし、今回の修正は評価してます。
— 風のハルキゲニア (@hkazano) 2021年8月2日
たしかに『ブラックジャックによろしく』の精神病棟編は漫画作品として傑作だと思っている。
しかしそれとは別問題として、連載時に作中でWEBサイトの文章を盗用したことが発覚して、単行本で元ネタを明記するよう改変された。
そのWEBサイトを運営していたのが「風のハルキゲニア@hkazano」氏だ。
psychodoc.eek.jp
psychodoc.eek.jp
プロフィール文からわかるように、「風のハルキゲニア@hkazano」氏は商業媒体で活動しており、そこでは風野春樹という名義を出している。
すでに複数の著作があることもあってWikipediaに本名で立項されているが、盗用被害にまつわる記述は現在のところ存在しない。
ja.wikipedia.org
『ブラックジャックによろしく』項目にも記載がなく、せいぜい作者の項目で移籍理由のひとつとして「編集部の取材資料の誤り」という記述があるくらいだ*2。
ja.wikipedia.org
ja.wikipedia.org
人気作品だったこともあり、当時はかなりの騒動になった。それが忘れられている時代の変化に悩まざるをえなかった。
*1:引用時、「風のハルキゲニア@hkazano」氏のプロフィール画像を排し、かわりに引用枠内にプロフィール文を入れた。
*2:現在はツイートが削除されているが、編集部が著作権処理をしていない資料をわたしたために起きた事件だったと作者側は説明していた。 togetter.com