法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』ハラハラドキドキが止まんない!ギリギリスペシャル

今回の国境はいつもの税関だけでなく、沿岸警備隊も紹介。巡視船やヘリコプターで密入国船を追いまわし、ゆれるヘリコプターからピンポイントでエンジンを狙撃したりする。捕り物劇としてサスペンスフルな映像ではあった。


ロシアで25年前につくられた家族4人のTV局メトロノーム3。くわしくは説明されなかったが、ソ連崩壊後の困難のなかで発展への希望をこめた個人事業だったのだろう。
かつては世界を変えるような夢をもっていたが、現在は地域に密着してクレームを役所につなぐような番組で人気を集めている。行政にうったえることで状況を変えることを助けることは、メディアのありかたとして日本より原理的に正しい一面があるように思えた。
もちろん現在のロシアで公的機関と全面的に対立するわけでもなく、村の警官たちの顔をおぼえてもらう番組を放送したりも。
ドキュメンタリの終了後は、ビルマ軍事独裁政権を逃れて田舎から放送をつづけるTV局が紹介された。


最後はボリビアのモロコカラ地区にある鉱山で働くシングルマザーに密着。
せまい坑道を手作業で、泥まみれになって鉱石をほりだしていく。すでに銀はほとんどとりつくし、見つかるのは1/60の価値しかない錫ばかり。えられる収入は平均の半分以下。コカの葉をかむことで疲れを癒し、休日で街に出ても子供たちのための教科書を安く買うためコピーを購入する。
友人は坑道に入るかわりに積みあげられた砕石をトンカチで割っていき、鉱石が残っていないかを調べるが、半日以上働いて手をケガしたりしながら収入はさらに低い。
スタジオで語られた後日談として、ドキュメンタリを見た多くの人々から支援を受けて、現在は都会で鶏を売って生活し、孫と会う時間などもできているという。善意で家族が救われたこと自体は素晴らしい。しかしよく考えると、ひとりで山のような瓦礫をひとつひとつ割って鉱石をさがしていた知人は、いったいどうなったのだろうか。
子供をかかえた独身女性が危険な鉱山でしか稼げないことも問題だし、労働に見あった収入でないことも問題だ。さらにドキュメンタリのフレームの外にも、同じような立場におかれた人々は、きっとたくさんいる。
社会構造を変えなければ、本当に救ったとはいえない。