法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

東京五輪の記者向け1600円ハンバーガーは、平昌五輪の1200円ランチと比べて、そう悪くないと思っていたのだが……

東京五輪におけるメディアプレスセンターの食事が高すぎると、女性自身*1北日本新聞などが報じている。
1600円ハンバーガーに相次ぐ失笑…海外記者もあ然の“おもてなし崩壊” | 女性自身

投稿には写真も添えられており、そこに写っているのはテイクアウト容器の半分を埋めるポテトと、具とバンズがバラバラになったハンバーガー。なんと、この内容で1,600円だという。

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7月19日配信の東京新聞によると、MPCにある食堂の食事メニューは現在6種類。最も安い食事は1,000円のビーフカレーで、自販機のお茶がペットボトル1本(500ml)で280円と一般的なスーパーやコンビニよりも高額であることを報じている。


しかし五輪の記者向け食事の問題は今回だけではなく、2018年の平昌冬季でも国内外で報じられていた。
<平昌五輪>国際放送センターのメニュー料金にぼったくり論争 | Joongang Ilbo | 中央日報

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「これはいくらだと思いますか?」というタイトルと共に、食パンとベーコン、スクランブルエッグなどが盛り付けられた写真が掲載された。

投稿者は「国際放送センター(IBC)内の食堂で売っているメニュー料金がとても驚いたのでここに掲載する」とし「こんなゴミが何と1万1300ウォン(約1174円)だ。こんなぼったくりも他にない」とコメントした。

いくつかの料理から選ぶセルフ配膳方式で、ビッフェと違って料理ごとに料金が加算されたという。

セルフ式で、購入者が好きなものを皿に盛ればそれに応じて価格が決まる仕組みだ。平昌組織委員会が公開した資料によると、食パン1枚1500ウォン、クロワッサン一個2000ウォン、コーンフレークシリアル2000ウォンだ。

トースト1枚やオレンジジュース1本が約200円というのは、たしかに見た目と比べて高額に見える。東京五輪の記者向け食事と印象として大差ない。
値段については冬山の観光地と思えば理解できなくもないが、こうした批判をあびて運営側は食事を見直すよう動いたらしい*2


ただし、そもそも平昌五輪で記者や関係者の多くは外食したり、食事をもちこんだりしていたようだ。東京写真記者協会の池田正一氏が中央日報にこたえている。
<平昌五輪>外国取材陣「韓国料理おいしく、市民・ボランティアは親切」 | Joongang Ilbo | 中央日報

「食べ物がおいしいのでいい。スンドゥブが好きなのだが、江陵はスンドゥブが有名ということでもう店を予約を入れてある」と言って笑った。

テレビ朝日宮嶋泰子氏による取材日記では、よりくわしく記者の食事事情が書かれていた。
スポーツ古今東西 | 平昌オリンピック その6 のりきるための食事

おかゆやブルゴギ、キムチなど韓国料理をはじめとして、スープ、サラダ、パン、温野菜、卵、魚、果物、さらには回教徒のためのハラル料理も用意されています。大会期間中は基本的に毎日同じメニューです。自分の好きなものを取っていけばよいのです。

上記は氷上競技がおこなわれた江陵のメディア村で出された料理で、問題視されている平昌のIBCとは約50分間の移動時間がかかるという。IBCには軽食をもちこんでいたようだ。

出先のプレスセンターの机の上には、日本から持って行ったおさかなソーセージや豆乳クッキーなどを並べての作業です。

IBCのテレビ朝日のブースには、今回もずらりとカップ麺やカレーが並べられています。山から下りてきての温かいカップ麺は、えも言われぬおいしさだったようです。


おそらく東京五輪のMPCや平昌五輪のIBCでの食事は、時間のない記者が手早くすませるためのものだ。
根本的な問題は、東京五輪は平昌五輪と違って外で選ぶことが難しいところではないだろうか。時間がない記者がセンター内ですませる料理とは別個に、時間がある時に周囲でゆっくり楽しむ食事も本来はできたはずだ。
外食が難しくなった時点で、過去の五輪と比較して良好な食事を出す必要があった。逆に、短時間でも外出しての購入を許しているなら、公言されている感染症対策が虚偽ということになる。
これもまた現場の不手際というより、感染拡大下で開催した無理がたたった結果ではないだろうか……


……などと思っていたのだが、平昌五輪では記者向けに用意されていたハラル食が、東京五輪では用意されていないという新たな報道があった。
五輪の報道拠点、ムスリムに不評 礼拝室、ハラル料理もなく | 共同通信

(MPC)に、イスラム教の礼拝室や戒律に従った「ハラル」料理が準備されておらず、ムスリムイスラム教徒)から不評を買っている。

レバノンから初めて来日したフリーの写真家は「食堂に行ってもハラル料理は見当たらないので、MPCでは何も食べずにコーヒーばかり飲んでいるの。案内板の言葉は日本語や英語ばかりで(国連の公用語でもある)アラビア語は全く目にしない」と不満を訴えた。

ムスリムも多く居住する東京は、宗教にあわせて多様な料理をそろえやすいはずだ。
少なくともメディア村では用意されていたことが確認できる平昌五輪と比べて、ここは明らかに悪化している。

*1:記事には写真やツイートのURLが記載されていない。途中で挿入した画像は、こちらの元ツイートから引用した。

*2:こちらの記事をWEB翻訳して読んだ。スタッフ向けはもう少し安く、種類も多いものの、安っぽく見える。使い捨て食器をつかっているのは衛生のためらしいが。[단독] “교도소밥도 이보단 낫겠다”…뿔난 평창 직원들 | 서울신문