法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『トロピカル~ジュ!プリキュア』第17話  人魚の奇跡! 変身!キュアラメール!

ローラを探して海中を進むプリキュアたち。人間のパワーを奪いに来る途中で客船を見つけ、手近な標的にした敵幹部たち。はちあわせで戦いがはじまる。
一方、あとまわしの魔女に勧誘されたローラは拒絶し、牢屋に閉じこめられた。くるるんと協力して脱出することには成功したが、アクアポットをとりもどそうとして傷つく……


前回につづいて横谷昌宏シリーズ構成が脚本を担当し、 中谷友紀子キャラクターデザインも作画監督に入った*1
さらに新プリキュア登場にあわせて、早くも後期EDに刷新。時期的にもう一度くらい変更するかと思ったが、放送最後のCMによると「後期」と明言されていたので3期は予定していないのだろうか。


そこで本編だが、敵の本拠地に拉致されて脱出するというクライマックス的な物語でありながら、予想よりもスケールが小さかった。
前回ラストで助けに向かったプリキュアたちが偶然に敵幹部ふたりと戦うことになって押しとどめられ、ローラが妖精と協力しつつ単独で脱出する。Bパート序盤のイメージシーンや、直後の女王とのやりとりから考えても、プリキュアという勢力の分岐点というより、あくまでローラ個人の内面を重視したドラマとして終始した。
プリキュアシリーズは、過去作品では魔法界に対比される人間界を「ナシマホウ界」と呼んだりして、人間とは異なる知性を対等に描こうとしてきた。
『魔法つかいプリキュア!』第50話 キュアップ・ラパパ!未来もいい日になあれ!! - 法華狼の日記

現世界と異世界を対等に描いて、主人公2人がつながっていくドラマとしては、序盤から一貫して悪くなかった。魔法界には異世界なりのルールがあり、異世界の視点を表現するため現世界を「ナシマホウ界」と呼ぶ設定も感心した。

ローラのような「人外」が人間になりたいと願う古典的な描写は、傲慢な人間中心主義と紙一重だ。たとえば黒人が白人になりたいと願い、それをかなえるドラマは現代で成立させることは難しいだろう。
だからこそローラ個人の心情にとどめたのだろうが、それが先述したスケールの小ささに直結もしている。あくまで人間の視点を知るだけで人間になりたいわけではないという線引きはできなかったか。
さすがにローラを車椅子で移動するプリキュアにするような展開は、それはそれで別の問題が出かねないとも思うが、もう少し女王の考えなどでふくみを感じさせてほしかったな、という感想をおぼえた。


キャラクター重視を象徴するように、瞳が模様として処理するのではなく、ちゃんと虹彩に透明感があって凹型に見える作画が珍しくよくできていた。
もちろんアクション作画も比較的に力は入っていたし、水中から飛びあがる水飛沫エフェクト作画などは目を引いたが。原画にキュアパパイア変身バンクを手がけたらしい「こはだ」という名義のアニメーターも。

*1:増田誠治と藤原未来夫と共同。