中学校で映画の撮影があると聞き、トロピカる部として参加する目標をかかげる。そんな矢先、校門で不審な少女と遭遇する。
それは映画で悪役を演じる予定の俳優、山辺ゆなだった。「癒し系」の山辺は初めて演じる役柄に悩み、ロケ地に来ていたのだ……
脚本として吉野弘幸がシリーズ初参加。井上美緒もそうだが、『ゲゲゲの鬼太郎』6期で東映作品に参加したスタッフが来ている流れか。
ノリツッコミする滝沢に、クールに距離をとる一之瀬。そこで母が山辺のメイクを担当することもあり、鈴村が違う自分になっていき、その姿が山辺のロールモデルとなる。なるほど、今回のようなエピソードならば人格が完成された他のキャラクターより、未熟な鈴村でこそ描ける物語になるか。
キュアコーラルの必殺技も、枝分かれするアニメーションが海の生物を思わせ、今作のモチーフを強調する。これを見るとキュアパパイアやキュアフラミンゴも海を連想させる生物をモチーフにするべきだったと思えた。
ただ、化粧したり顔を隠す着ぐるみで演じるだけでなく、シンデレラの物語に新たな解釈をくわえるあたりは一之瀬とキャラクターがかぶっている印象があった。ここは一之瀬が鈴村の解釈を言い当てても良かった。
あと、メイクによる顔立ちの変化を重視した物語に、速度優先の青山充作画監督は相性がわるい。
山辺の悪役姿がどのような化粧なのか見せるのを引っぱるなら、そこだけはキャラクターデザインが総作画監督として入るか、スペシャルな原画を呼んでほしかった。