法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 Season19』第15話 薔薇と髭の不運

ゲイバーのママのヒロコが、階段で何者かにつきおとされる。それをあやうく救った出雲は、ヒロコの警護をすることに。
別件の殺人事件を捜査していた出雲だが、その犯人がヒロコを目撃者と考えて消そうとしているかもしれないのだ……


児玉頼子脚本。ウーバーイーツを思わせる料理配達業者*1に熱をあげるヒロコと、女性刑事のちょっとした葛藤を描く。
一定の能力をもちながら弱者に転落した犯人。それが被害者と接点をもった経緯とアリバイトリックが関連していることや、そのトリックを実行できる条件が前半の日常でしっかり描写できていたことも良かった。


現代的な小道具をつかったアリバイトリックはシンプルで、動機も切実な社会派テーマでありつつ浅くとどめているが、このドラマの枠組みならではの良さがあった。
もしこれが二時間ドラマなら、ミステリとしてもサスペンスとしても薄く、無駄なタイアップ描写でさらに印象が散漫になるところだろう。それが一時間枠に凝縮されているおかげで、無駄なく時間いっぱい楽しめる。
真犯人の動機語りに時間をつかって共感をさそいつつ、杉下があっさり切り捨てるドライさもこのドラマらしい。


ただ、ダメンズにひかれるママというドラマの構図は、先週*2とまったく同じ。小出茉梨も結末でカメオ的に出演し、ヒロコとかけあいしたりする。
今期はモチーフや構成が似たエピソードが連続しがちな印象がある。理由はわからないが、エピソードのバラエティが実質よりせまく感じられるし、謎解きの楽しみも弱まるからさけてほしいのだが……