法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』雪でアッチッチ/ドライブはそうじ機に乗って

前回まで2005年リニューアル以降の初映像化がつづいていたが、今回はどちらも映像化ずみの原作をリメイク。


「雪でアッチッチ」は、寒さに弱くて異常に厚着したのび太がみんなに笑われたことについて、寒さに弱いネコ型ロボットのドラえもんが共感して秘密道具を出してやるが……
小西富洋作画監督に、2回目のソエジマヤスフミコンテ*1。2013年に映像化*2した初期短編を、良好な作画で再アニメ化した。
ひとつ落として笑われる湯たんぽを、今回は大小を次々に落とす描写にアレンジ。ここまでは過剰化しただけに見えて好みではないが、倒れることで背中に巨大湯たんぽを背負っていたことが発覚して、まるで亀のような姿になったのは良かった。
基本的な展開は原作そのままだが*3、今回も後半をアニメオリジナルでふくらませている。原作ではジャイアンたちに水をかけられてすぐ逃げ帰る降雪を、土管に隠れて耐え忍ぶ。
そこから積もってしまった雪道を帰るため、新年らしく竹馬で遊んでいるジャイアンのアニメオリジナル描写を受けて、机をかかげて雪をふせぎながら竹馬で必死に歩く。ドラえもんのび太を背負う二人羽織状態が香港映画のようで楽しいし、きちんと手描き作画で歩かせて、障害物をこえるアクションも展開する。それこそ香港映画のような無茶な動きだが、ロボットだからギリギリ画面に説得力もある。


「ドライブはそうじ機に乗って」は、スネ吉スーパーカーに人数制限で乗られず、漫画は捨てられ、TV番組もノイズで楽しめないのび太のため、秘密道具で代替品をつくる……
2010年に楠葉宏三元総監督が映像化した原作を*4、善聡一郎元監督がリメイク。作画監督は岩永大蔵。
社会的にSDGsを流行らせようとしているなか、ガソリンをつかったスーパーカーはどれほど魅力的だろうか?*5という時代の変化にあわせた視聴者としての疑問はさておいて。
基本的には原作どおりで、身近なものが秘密道具で違う存在になる面白みをていねいに映像化。後半のカーレース展開は2010年版と同じだが、道路に秘密道具で催眠をかけてサーキット化してツッコミどころをつぶした。3DCGで描画したスーパーカーも違和感なし。

*1:EDテロップを見て思い出したが、現在のOPは元GONZOグラフィニカが制作している。そのコネクションで登板したのだろうか。

*2:hokke-ookami.hatenablog.com

*3:石油ストーブが古い型だったり、そもそも湯たんぽが登場することにレトロな味が出ているが、調べると現代でも流通はしているらしい。

*4:hokke-ookami.hatenablog.com

*5:わざわざ排気ガスを強力に出すカットも入れているる。