法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』Go To世界の果て! クリスマス2HSP

2時間SP。新型コロナ禍を意識したサブタイトルを象徴するように、ARを活用した疑似世界旅行を紹介したり。
ミニコーナーでは世界における動物と人間のさまざまなかかわりを見せたり。


世界の風変わりな家に住む個人を特集したコーナーでは、廃材で家を作ってホームレスに提供していたアーティストが、自分自身もゴミ収集コンテナを改造して住みはじめたエピソードなどを紹介。
巨大なコンクリート製のワニや、木製の犬型の家に住む個人、両手が左右の壁にとどくギネス認定の世界一薄いポーランドの住宅など、日本なら『ナニコレ珍百景』に出てきそうな光景が素直に楽しい。
メキシコ湾にペットボトルで浮島をつくって家を建てて生活する大工には、日本で一時期話題になった海上住宅を連想した。


さらに視野を広げて世界の風変わりな街を紹介したコーナーでは、個人店の軒先でしか携帯電話がつながらないフィリピンの村などが出てきた*1
世界遺産にもなっているベトナムはクアヴァンの水上村や、アルゼンチンの観光地だったが水没で廃墟化したヴィラエペクエンなど、すでに有名らしいがよく知らなかった光景も多い。
ノルウェースピッツベルゲン島の永久凍土に守られた世界最大の種子貯蔵庫には、種苗法改正問題を思い出した*2


フランス人カメラマンが少数民族に再取材したドキュメンタリーでは、少数民族が現代文明の恩恵にあずかりつつ、観光客を集めるため古い文化を演じる姿を悲しむ。
しかしカメラマンの取材自体が第三者の文化への介入であったろうし、体を叩きあう儀式などは危険があるため政府によって禁止されたというもの。
いろいろ考えさせられる光景だったが、はっきりした結論が出ないことはもちろん、考える手がかりなども映さないまま終わってしまった。この番組のドキュメンタリはダイジェストされているので、そのあたりは以前から削られがちではあるが。


男女が裸で21日間サバイバルする恒例の番組は、いつもはサバイバル経験がそれなりにある出演者が登場するところ、今回の男は予習してきただけの細身の青年。
しかし植物の茎で濾過できるのは泥だけという知識から、女性と違って生水を飲まず、腹痛でリタイアせずにすんだ。2日目にひとりになっては番組が成立しないとして以前にリタイアした女性が参加するも、豊胸手術のシリコンバッグが破裂したという信じられない理由で早々にリタイア。リアリティ番組の脚本としては雑すぎて、逆に変なリアリティを感じてしまった。
知識だけでは危険をさけられても漁や狩りはうまくいかないが、初期に見つけた果実と、時間をかけて罠でつかまえた小魚のおかげで飢えを癒やす。そして番組最長の23日間をサバイバルというオチ。こういう番組で勉強の意義を実感して終わるのが珍しい。


最後にNASAがリマスターしたアポロ計画の映像と、月着陸までに立ちふさがったさまざまな困難をてぎわよく紹介。
しかしスタジオで中国の月面着陸成功が言及されなかったことが解せない。一種の旅行特集なので、ソ連と同じく無人の宇宙開発は無視するということだろうか。

*1:田舎に住んでいるので、十年以上前は日本でも似たようなところがあったと知っているが。

*2:日本の問題は品種をかこいこむために農家の負担が増すという問題だが。