法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

「ブラック企業」に代わる言葉なら、「悪徳企業」より「搾取企業」が良いと思う

「ブラック」という色に悪いイメージをもたらす表現は、黒人差別につながるので止めるべきだという議論がある。
「ブラック企業」に「黒人差別」の指摘 どう思いますか:朝日新聞デジタル

外国人労働者らを支援するNPO「移住者と連帯する全国ネットワーク」の鳥井一平代表理事は、すでに13年から異論を唱えている。「『ブラック』『黒』に悪いレッテルを貼るのは、使う側の意思にかかわらず差別を拡大しかねず、やめた方がいい。批判すると運動に水を差すかのように思う人もいるが、『問題企業』と表現してはだめなのか」と語る。

すでに定着している言葉として私も何度となくつかってきたが、好まれないのであれば無理につかう必要はないとも考える。
今回の批判の文脈とは違うが、横文字をつかわず表現することは感覚的なわかりやすさにつながりやすいとも思っている。


しかし「問題企業」という表現は幅広すぎると感じてしまう。
古くからある言葉として「悪徳企業」を推す意見も見かけるが、私の感覚では外部に対する問題がある企業を指すことが多く*1、雇用している労働者を傷つける企業とは少し違う印象がある。
前世紀の造語として労働者が飼いならされる問題を指す「社畜」もある。今年にTVアニメ化された会社をモチーフとするファンタジー小説でも、虐げられ操られている哀れな敵モンスターとして登場した。

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しかし社畜という言葉は、社員寮など自由を制限する福利厚生で労働者を囲いこむ企業もふくめていて、「ブラック企業」ほどの厳しさを感じない。


それゆえ内側の労働者をしいたげる印象を出すならば、「搾取企業」が良いのではないかと思うのだが、どうだろう。
あくまで印象論だが、「搾取」という古くからある言葉がさけられてきたのは、共産主義にむすびついていて、反共的な日本社会で主張しづらかったためだろう。
しかし共産主義と言葉の連想関係は忘れられ、「やりがい搾取」*2のような新たな造語も定着している昨今、そろそろ企業の問題を指す言葉として復権して良いように思える。

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*1:あえてブラックという横文字をさけるために使用したおぼえはあるが、しっくりこなかった。

*2:googleで「搾取企業」と検索すると、やりがい搾取という言葉と企業をつなげた文章が上位に引っかかる。単純な「搾取企業」という呼称よりも上位な印象すらある。