法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』世界は笑いと踊りで溢れてるダンス スペシャル!

新型コロナ禍を受けて、気晴らしのようなダンス特集。紹介される投稿映像も、最近の感染症をさけた室内や距離をとった状態でのダンスが多い。


最初の特集はアイリッシュダンス世界大会。直立したままジャンプしたりタップダンスするような独特の踊りで、幼い少女たちが競う。複数のコーチがついたり、トップランカーは年下にサインをねだられるほどスターだったり。
しかしトップランカーが足首を傷めて前回は出場を断念したところなど、十代前半の若者が芸能のピークをそこに持ってくるには厳しいものも感じた。直前のアメリカの太ったチアダンスチームを紹介する時に腰や膝を案じるナレーションがついていただけに気になった。


次の特集はアーティスティックスイミング……旧称シンクロナイズドスイミング*1の中年男性チームがスウェーデンで結成されたドキュメンタリー。
水泳どころかスポーツにかかわる仕事についているわけでもなく、腹も出ていてスポーツのできない男たちが、衝突しながら少しずつ本気になっていく。仕事を失ってしまったり、初めての一般客向けの披露でブーイングをあびたり、どのトラブルもせせこましくも切実。
やがて本気になったチームは友人のような関係のコーチからより厳しいコーチを紹介してもらい、世界大会にいどむ。課題だったさまざまな技をこなして、見事に初出場で優勝した……という終わり。
なかなか楽しかったが、スタジオで指摘されたように日本など他に出場したチームのレベルが低かったのでは?という疑問がぬぐえない。下記の記事によると日本人が2009年と2011年に二連覇はしているらしいが。
男子シンクロの先駆者 世界大会でメダル、シルク・ドゥ・ソレイユ挑戦 | 月刊「事業構想」2019年12月号


最後の特集はミュージカル「陽気に前に進もう!」が初演で大失敗して若者たちが夢破れた逸話と、現在を重ねあわせるドキュメンタリー。
時系列をさかのぼって、夢破れた中年たちが最終的に未来に夢を見る若者たちで終わる構成のミュージカルが存在することは、インターネットの記事で読んだ記憶がある。初演が失敗に終わったことも。
しかし難解さによる試演会の不評からくりかえされる手直し、参加した若者たちのさまざまな葛藤など、文字情報だけでは伝わらない良さもあった。ドキュメンタリーとしての見ごたえがここにある。
なお、挑戦的な内容にイギリスでは演劇の賞を受けたと紹介されていたが、日本でも2013年に宮本亜門の演出と振付で上演されたという。
【公演評】「メリリー・ウィー・ロール・アロング」 疾走感にあふれた逆回転で描く青春群像劇 - スターファイル - 朝日新聞社

長年上演を熱望していたという宮本亜門のテンポよく洒脱な演出が冴えわたり、小池徹平柿澤勇人ら若手キャストのエネルギッシュな芝居と心地よいハーモニーにたちどころに魅了される。

個人的な興味から連想した作品として、2007年に放映されたTVアニメ『桃華月憚』が同じ挑戦をしていたことが印象深い。

桃華月憚 月華之抄 [DVD]

*1:名称変更は2017年なので、2003年にチームを結成してからのドキュメンタリーは旧称で紹介するべきだった気はする。