これまでつづいていたOP前のステイホームアイキャッチに加えて、前半終了後のアイキャッチでステイホームしている母子をいたわったことが印象的。
明日は「母の日」。のび太ママと家族のSTAY HOMEを描いた特別動画を公開しました。いつも伝えられない「ありがとう」を大切な人に伝えてみませんか?
— 【ドラえもん公式】ドラえもんチャンネル (@doraemonChannel) 2020年5月9日
https://t.co/z5zywV286Q#母の日 #StayHome pic.twitter.com/pblIfGtJRZ
ただの「絆」賞揚かと思いきや、家庭内で顔をあわせつづけることが相互のストレスになる危険にも留意しており、感心した。
「こころにささるおもいヤリ」は、野比玉子とドラえもんが骨川母と出会い、カーネーションを自慢される。のび太は期待できないと玉子もドラえもんも考えていると、のび太が土手でタンポポをつんでいた……
鈴木洋介脚本と鳥羽明子コンテによる、アニメオリジナル秘密道具をつかった季節ネタ。のび太が無料のプレゼントですまそうとするのをドラえもんがフォローする展開で、いつものメンバーが母をいたわる姿も描いていく。ロングショットを多めにして、それぞれの家の物語を短くもリアリティあるものと感じさせたコンテが良かった。
一方で物語には導入で首をかしげた。タンポポでは落胆させるとドラえもんが考え、秘密道具「おもいヤリ」*1で過剰に好印象をもたせようとする。しかし土手をさがしまわって美しい花を選び、泥だらけになった息子からプレゼントされたら、それはそれで嬉しいはずだ。
そうして物語に乗れないまま玉子が骨川母へ自慢するところまできて、ようやく秘密道具の効果がきれる。しかし玉子はこれはこれで嬉しいプレゼントだといい、そもそもがドラえもんの考え違いと判明したので、最終的には納得できた。思えば玉子が期待しなかったのはプレゼントをもらうことであり、高価なプレゼントかは気にしていなかった。
骨川母がタンポポを見せられて「奥ゆかしい」と評して、とまどいながらも最後まで一度もバカにしないのも良い。不思議がるスネ夫へ、母としてプレゼントをもらう純粋な嬉しさを教えもする。それでも自分のカーネーションのほうが美しいと主張するスネ夫に、「もちろん」と断言したのも、ここまで骨川母の人格を立派に描いたことで、とても良い母子関係だと思えた。
今回ほど骨川母が好人物としてピックアップされたエピソードは記憶にないし、表情の変化をじっくりとらえたコンテも珍しくて楽しめた。
「スケジュールどけい」は2017年の再放送。雨に濡れて全身テカテカになったドラえもんがかわいい。
hokke-ookami.hatenablog.com
あらゆる意味で弱者なのび太が被害を受けるより、超常的な技術をふるえる保護者としてドラえもんが被害を受けたほうが、素直に安心して笑えるな、と再確認した。