社会学者のケイン樹里安氏によるWezzy記事で、日本政府のCOVID-19対策は国民へ責任転嫁していると批判されていた。
布マスク2枚配布に見る「感染の自己責任化」と「補償なき/脆弱な補償による自粛の強制」 - wezzy|ウェジー
4月1日エイプリルフールに布マスク姿の安倍晋三総理大臣が、各世帯へ向けて布マスクを2枚配布する、という嘘のような政策を口にした。
3人以上いる世帯はどうするのか。治療・回復にあたる医療関係者に優先的に配るべきではないのか。全国津々浦々に2枚のみのマスクを発送する莫大なコストを考えるならばより有効な感染予防対策や経済対策ができるのではないのか、といった批判が噴出しているのも当然だ。
ある程度、身を守る方法があるとはいえ(手洗い、うがい、いわゆる「社会的距離」の構築・維持など)、そうした対策が、24時間365日、膨大な人びとの手によって常に適切に実施され続けられる可能性を考えれば、やはり感染防止対策として難しい部分は残り続ける。
上記の引用それぞれは異なる話題だが、布マスク自体も家庭でリサイクルすることを想定して配布される以上、やはり感染防止対策として難しい部分があるはずだ。
そうして洗浄不足などで感染がひろがった時、本来は政府が負うべき責任を末端の国民が感じてしまうことにつながりかねない。
さらに現金を給付する計画にしても、検討が報じられるたびに金額が上がったことは良いが、給付対象をしぼるという首相判断はくつがえらなかったようだ。
現金給付、1世帯30万円 自己申告制―自治体に1兆円交付・新型コロナで経済対策:時事ドットコム
岸田氏は首相との会談後、現金給付について記者団に「一定の水準まで所得が減少した世帯」が対象になると明らかにした。政府は今後、所得減少の程度や所得上限など対象世帯の線引きを含めた制度の詳細決定を急ぐ。
さらに給付条件を自己申告制にしたため、自己責任論からくる生活保護受給への蔑視がはびこる社会*1では、同じような抑圧が生まれかねない。
しかも、感染症をふせぐために外出をひかえさせる政策への補償であるはずなのに、市区町村の窓口などに申請させることは原理的に矛盾をきたしている。
*1:自民党もその蔑視を後押しして、生活保護の給付水準を下げることを公約として、第二次安倍政権が誕生した。 www.asahi.com