法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『13日の金曜日 PART2』

クリスタル湖の惨劇から生き残ったアリスは、惨劇の悪夢にうなされながら行方不明になった。そして数年後、新たな若者たちがクリスタル湖にやってきた……


1980年に公開された1作目の直後、1981年に公開された2作目ながら、監督や脚本などのスタッフは全面的に交代している。

13日の金曜日PART2 (字幕版)

13日の金曜日PART2 (字幕版)

  • 発売日: 2014/07/01
  • メディア: Prime Video

1時間35分もあって緊張感のない1作目は感心できなかったし*1、そんな1作目の実質的なダイジェストが冒頭5分間もつづく構成には不安をおぼえた。
しかしこの2作目は1時間26分と短いなかに無駄なく凝縮されていて、ぐっと娯楽としての完成度が増していた。1作目より評価が低いらしいことが理解できない。


犯人のどんでん返しは悪くないが伏線が足りなかった1作目に対して、今回は序盤からジェイソンが生きのこっていた可能性を語らせ、半信半疑で怪人に追いかけられるモンスターホラーが始まる。
わかりやすく向上しているのがカメラワークだ。特に印象深いのが、近景と遠景で異なる事態を進行させる手法。電話をかける若者の背後で自動車がレッカー移動される序盤のギャグにはじまり、獲物をさがす殺人鬼と身をひそめる女性を一画面におさめたりして、映像の情報量が格段に上がっている。さらにジェイソン視点のPOVもカメラワークに変化をつけ、普通の森を逃げまどうだけの場面でもけっこう楽しい。
そうして場面ごとの情報量を増しつつ、似た状況をくりかえして位置関係や状況を観客につたえる手法もていねい。中盤に出てくる謎の小屋が終盤でも再登場したり、森の水たまりを何度も映したり、物語の舞台の実在感を固めてもいる。


あと、殺人鬼ジェイソンは印象と違ってチェーンソーを使わないという豆知識は逆に有名だが、この2作目で女性側が反撃のためジェイソンにチェーンソーをふるう局面があったのは逆説的な楽しさがあった。

*1:『悪魔のいけにえ 公開40周年記念版』 - 法華狼の日記で「同じジャンルを隆盛させた1980年の映画『13日の金曜日』が、描写の無駄だらけで終盤しか楽しめなかった」と言及した。