法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』大パニック!のび太のヒマワリ日記/けん銃王コンテスト

のび太の誕生日SPということで、それらしいエピソードが放映された他、エンディングものび太版に変更。


「大パニック!のび太のヒマワリ日記」は、ドラえもんが草むしりのため、草を抜く植物を秘密道具で作りだす。それを見たのび太は、改造した植物の観察を自由研究にすることを思いつくが……
原作短編「だいこんダンスパーティー」に登場する秘密道具「新種植物製造機」を使ったアニメオリジナルストーリー。夏休み序盤にあわせた季節ネタでもある。
パクキョンスンコンテに腰繁男演出とベテランが担当した回だが、映像の工夫が多くて面白かった。日差しの強い青空を映して、次のカットでデジタル技術を使って窓ガラスに青空を反映し、のび太の部屋へとカメラを移動させたりする。観察日記でもクレヨンで描いたような絵をはりこんだり。
生まれたばかりのヒマワリは赤ん坊のようで、そのまま「のび太の恐竜」のような子育てエピソードが始まるかと思いきや……一夜が明けて状況が一転。反抗期になったヒマワリは横柄な態度でドラえもんたちに命令しはじめ、庭の日陰へ放置される結果となる。陽光の有無をていねいに映像で描写していたのは、この展開のためだろう。
そこからヒマワリが更生する展開にもならず、秘密道具を盗んで改造植物が街へ蔓延するパニック状態に。個々のトラブルはコメディタッチで描かれたが、まさか「人間製造機」のようなエピソードとは予想できなかった。期待とは違うが、これはこれで悪くない。


「けん銃王コンテスト」は、モデルガンで遊んでいるジャイアンたちに対抗して、のび太の拳銃の腕前を認めさせるため、秘密道具を使って街中で西部劇ごっこが始まる……
2005年リニューアル初期に腰繁男コンテ演出でアニメ化した短編を、実際の西部開拓の銃撃戦を魅力的に描いた「ガンファイターのび太*1の山口晋コンテで再アニメ化。
のび太が拳銃がうまい設定の初出となるエピソードを、忠実に映像化した。たがいに敵となるコンテストで自然発生的に共闘が組まれたり、地形を活用した戦いが展開されたり、FPSゲームのような面白さがコンパクトに凝縮されている。
それでもいくつかアニメオリジナル描写があって、どれも納得の追加描写だった。ひとつはスネ夫と安雄が共闘を組む時、早撃ちを提案した安雄にスネ夫が共闘をもちかけるという過程を描いたこと。それぞれのキャラクターらしさがあり、より共闘する流れが納得できる。もうひとつはのび太が小道で撃たれたかに思わせて、それは玩具の銃をもった子供だったこと。原作にまったくない描写ゆえの高いサプライズ性があり、のび太が残弾数を間違える原作通りの流れの説得力も増した。のび太は銃関係なら頭がまわる描写が後々多いのに、設定初出ゆえ現在では違和感が少しある部分をうまくフォローしたわけだ。