法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『スター☆トゥインクルプリキュア』第18話 つかめ新連載☆お母さんのまんが道!

70万部の月刊あさがおで、星奈母の初連載が決まりそうだという。しかし手は早いもののネタ出しに苦労する母を見かねて、星奈ひかるたちは手伝うことに決めたが……


いかにも少女漫画なイメージの恋愛至上主義を売れるからと求める担当編集に対して、娘を楽しませようとした初心にかえった星奈母は現代ファンタジー路線を提出する。
どちらが不正解というわけではないはずだが、母親も見ることを想定した女児向けアニメとして星奈母をロールモデルにするなら、後者を選ぶのは良くも悪くも予定調和ではあるか。
今作そのものがSFファンタジー路線であり、娘とその友人のふるまいから母親がかんづいてネタにしたあたりが、作家らしい鋭敏さの表現ともいえるだろうし。


ただ、こういうストーリーなら作中作もそれなりに面白そうであってほしい。売れ線なだけで作者が乗り気ではない作品とはいえ、医者の恋愛漫画はあまりにもつまらなさそうに見えて、それで良いと考えた担当編集がまったく信用できなくなるのは困りもの。
最終的に否定される作中作であっても、それなりに面白そうなレベルにはしていたのが、価値観などに感心できないところが多すぎた『バクマン。』の数少ない美点だった。
男装コスプレの天宮と、同じくコスプレした香久矢というラブシーンのモデル風景が印象的すぎて、いつものプリキュアをアレンジしたようなファンタジー漫画が相対的にあまり面白くなさそうなのも難。ラブシーンのモデル風景をファンタジー漫画にも参照すれば、途中の努力も回り道なりに意味があったという位置づけができるのでは。


それにしても、娘がいる年齢の女性で、漫画家をつづけるため初連載をねらうキャラクターは、どれくらいリアルなのだろうか。
祖父母とともに持ち家暮らしなので夢を追いつづけやすい設定とは理解する。少女漫画はたしかに週刊誌が少なくて、そこそこ有名な漫画家でも連作短編や短期連載が意外と多い印象もある。
しかし私は実際の漫画家事情を知らないので、どれくらいデフォルメされた描写なのかつかみづらい。星奈母の絵柄は『スレイヤーズ!』の挿絵で知られるあらいずみるいのような古さで、SFやファンタジーを愛好している設定ともども、時代遅れな漫画家像として完成はしているが……そもそも少女漫画誌ではなく、もう少し高年齢向けの青年誌などでの連載をねらうべきではないのか、と思ったりもした。そういう“現実主義”を選ばないのが今回の物語の結論ではあるが。