法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

モンキーパンチと小池一夫の訃報

4月11日に亡くなったモンキーパンチへの追悼が、小池一夫の最後のツイートだった。

過去のツイッターの利用方法などから見て、代理人などがツイートしたものかもしれないが、奇妙な縁を感じたのもたしかだった。


連載雑誌を読んだことがほとんどないので、モンキーパンチも小池一夫も漫画作品より映像化作品から知ったが、『ルパン三世』については原作の洋風で洒脱な作風も好ましく思っていた。中公愛蔵版が出たころに藤子・F・不二雄短編とあわせて購入し、今も手元にある。
アニメはTV1期からディテールにこだわった作品の嚆矢だったが、原作は小道具を徹底的に記号化。爆弾は筒に「TNT」と表記するだけだったり、サービスシーンで性器を「♂」と「♀」の記号をそのまま描く。ディテールを徹底的にそぐことで、逆に短い頁数にアイデアをつめこんで、メタなトリックやどんでん返しの連続で楽しませてくれた。男女観などの古さも、世界観が時代がかりつつ全体が記号化されていることと、どんでん返しを重視しているため古い価値観を逆手にとるような展開が多いことで、時代を超えて読みやすいところがある。
ちなみにAmazon電子書籍では現在、旧シリーズと新シリーズそれぞれ1巻が無料販売されている。性描写があるためかアダルトコンテンツあつかいだが、未成年でも読める劇画くらいの内容。

紙に印刷することを前提として荒々しい線で描かれた旧シリーズより、アニメ化を受けてより洗練した絵の新シリーズがモニターでの読書には向いているだろう。
それぞれ約300頁くらいだが、展開の密度が濃くて各話で完結しているので、1巻だけでも充分に楽しめるはず。以降も1巻ずつ108円と、かなり手ごろな値段だ。


アニメ化作品は宮崎駿監督の印象で全体が上書きされた印象があるが、原作の印象を残した作品にも傑作が多い。
特に近年は『LUPIN the Third -峰不二子という女-*1以降、原作の線をいかした小池健キャラクターデザインのハードな路線のアニメ化がつづき、ビジュアル的に満足できることが多かった。
TVアニメも最新の5期は原作のこまごまとした設定をひろって、怪盗を現代に成立させるための答えを原作の根幹設定から示したことで印象深い*2。思えばSF映画ベストテンで1位に推したアニメ映画1作目『ルパンVS複製人間*3も、原作のそうしたテーマを引きだした作品であった。
原作者が監督した『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』は逆に重みを排した娯楽としてまとまっていて、そろそろ再評価されるべき作品だと思っている。ナノマシンをとりこんだ先駆的な設定と、それで自由自在に変形する魅力的なトラップ空間が印象深い。