法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『スター☆トゥインクルプリキュア』第1話 キラやば~☆宇宙に輝くキュアスター誕生!

夜空を見ながらオリジナル星座を考えていた星奈ひかる。そこに謎の妖精がやってきた。
翌日、妖精フワを追いかけた星奈の前に、謎のロケットが降りてきて、なかから現れた少女がゲロを吐いた……


今作の高橋晃キャラクターデザインは、最近よく『アイカツ』で仕事をしているためか、以前よりポップ。パステルカラーの色指定もカラフルで、強弱のついた描線も漆黒ではなく、画面が軽やかだ。
これまでのシリーズが良くも悪くも個性として持っていた泥臭さを感じさせない。初回から上野ケン作画監督をはじめ、この枠の主力となるアニメーターが総勢で参加しているおかげもあるだろう。


物語も、気軽なコメディタッチで、頭の軽い主人公がさまざまな壁を軽やかに飛びこえていく。メッセージを語らず、ドラマチックな葛藤をつくらず、これが自然なのだと前向きに見せていく。
それでキャラクターに身体性を感じさせるとっかかりがないかというと、よりによって最もフィクショナルな存在に嘔吐させるギャグのインパクトで笑わせ、片足を地につけなおす展開がうまい。
宇宙を題材にしているという情報からの先入観とは異なり、かなりファンタジックで架空性の高い宇宙描写が始まるが、本来なら呼吸ができないことを説明する台詞があったり、敵が移動する時はロケット噴射したりして、現実との距離感をコントロールしている。
異星人をカッパになぞらえるオカルト定番の発想を、イケメン敵幹部に組みあわせたギャグも楽しい。


そして今後に活躍するだろうキャラクターをチラ見せしつつ、今回に出会う星奈とララにメインキャラクターをしぼり、プリキュアの初変身からアクションまできっちり1話におさめた。
女児向け販促アニメの第1話としてほぼ完璧な構成で、この作品でしかありえないオリジナリティも感じさせる。宮元宏彰シリーズディレクターがシリーズ初参加した『キラキラ☆プリキュアアラモード』とはまた違って、シリーズに新たな風を吹きこんでくれることを期待したい。