法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

冤罪問題で「監視カメラ」が名指しされるのは、それが記録を一方的に独占するシステムという側面もあるからでは

弁護士ドットコムが冤罪被害者のシンポジウムをとりあげていた。
冤罪を生む「防犯カメラ」、憤る冤罪被害者「都合良く抜き出され、こじつけられた」 - 弁護士ドットコム

3人に共通するのは、カメラの映像によって冤罪が生まれている一方で、映像が疑惑を晴らす決め手にもなっているということだ。しかし、容疑者・被告人側が、証拠にアクセスするのは容易ではないという。

成城大学の指宿信教授は、「被疑者段階で弁護人の(証拠への)アクセスについての定めはない。起訴されれば、証拠開示手続きに乗るが、検察官まで上がってこなかった証拠にはアクセスできない。証拠全体に対するアクセス保障が弱い」と指摘する。

はてなブックマークでは、監視カメラではなく警察だけの問題とみなすコメントが多く、むしろ設置の拡大や高画質化を求めるコメントが散見される。
はてなブックマーク - 冤罪を生む「防犯カメラ」、憤る冤罪被害者「都合良く抜き出され、こじつけられた」 - 弁護士ドットコム
しかし記事タイトルにあるように「都合良く抜き出され、こじつけられ」る恐れがあるかぎり、技術的な向上ではシンポジウムでとりあげられた冤罪を防げない。むしろ警察につごうのいい材料をより多く提供するだけになるだろう。


ここで興味深く感じたのが、監視カメラと銃をなぞらえるid:kazoo_keeper氏のコメントだ。

トップコメ見て「人を殺してるのは銃ではなく人だ」という全米ライフル協会(NRA)の主張を連想した。アメリカ人の銃に対する考え方は理解不能だったけど、日本人にとっての監視カメラのようなものと思えば多少は…

全米ライフル協会が理想とするように、監視カメラの記録が広く公開されて一般人の相互監視がおこなわれる社会。
警察だけでなく、名も知らぬ誰かに信頼をあずけることになる。はたしてそれは望ましい社会だろうか。
その問いかけもふくむ意味で、よくできた比喩だと感じられた。