法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ドラえもんストーブ/一晩でカキの実がなった

なぜかEDクレジットが放映順と逆に流れた。ミスなのか、直前で変更でもあったのだろうか。


ドラえもんストーブ」は、さまざまな機械の機能を人体にうつす秘密道具が登場。それでステレオやアイロン、ストーブにラジコン、ほしい機械を人体で利用していくが……
2011年に原作と同じ「機械化機」のタイトルでアニメ化*1したエピソードのリメイク。今回は物語の構造は原作そのままで、中盤にしずちゃんと楽しもうとする局面を挿入している。
のび太自身をTVゲーム化して、コントローラーとなった両手をしずちゃんに握ってもらう嬉しさや、眼鏡がモニターとなるビジュアルの楽しさなど、けっこうアニメオリジナル部分がよくできている。のび太の眼鏡を映写機にしてうつしだされる映画も、シネマスコープサイズで作画が良くて、ファンタジーヒーローなデザインもそれらしい。
ドラえもんのび太がさまざまな機械にされてコントロールされる本筋もしっかり描写されていて、その悲惨さに哀れみつつ笑える。ほぼ理想的なアニメ化だった。


「一晩でカキの実がなった」は、同じ土地を違う時間とおきかえる秘密道具が登場。置き忘れた買い物袋をとりもどしたのび太は、次に叔父の子供のころの心残りを解消してやる……
意外なことに2005年以来初のアニメ化。かなり頁数のある感動的な内容で、SF的な出来は良くないものの、特に問題があったようにも思えない。父親世代が子供のころのエピソードなので、特に食糧難が反映された物語ではないが、今回のアニメ化はそれなりに現代的な街並みの子供時代が回想されていて、そのことに問題は感じない。
内容としては秘密道具で事態を解決していくだけで、特に意外性も巧妙さもない。時間改変の余波で予期せぬ展開になったり、タイムループが発生したりしない。いや、買い物袋をとりもどしたことで忘れてしまったというループになっていると思うのだが、そのことを劇中で誰も指摘しないのだ。また、前日の柿の実をもってきたのは食べつくしたわけではないと考えればいいとして、ちゃんと柿の実を食べられたという思い出になったならドラえもんたちが時間移動する必要はなく、タイムパラドックスが発生してしまっている。
ほぼ原作に忠実なアニメ化がされていたが、今回のようなエピソードはSFマインドをもつスタッフがアレンジしてほしい。