法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』謎と驚きの3時間秋のミステリークイズ特大SP

今回はいつものミステリークイズ。前半の濱口優の勘が妙に鋭かったのが印象的。荒俣宏のためにセイラムの魔女裁判の要約的なドキュメンタリーを紹介したりもしていた。


「自然界の不思議な動物の生態」は、餌をあげたためツルが集まるようになったインドと、ウミイグアナが謎の大量死をしたガラパゴス諸島を紹介。
エルニーニョ現象による海水温上昇でウミイグアナが死んだということまで説明された。しかし、そこから普段に食べていた海藻が死に、しかし生き残った海藻を消化できないのに食べてしまったため満腹のまま餓死したという真相は難しい。ウミイグアナが本来は餓死に強くて、軟骨を少なくして肉体を小さくできるという個性は初耳で興味深かったが……
「夜になると体が硬直する兄弟」は、パキスタンに住む少年ふたりの謎の症状を解明しようとする。現地の最新医療で精密検査をおこなっても原因がわからなかったが、検査を主導した教授が症状のパーキンソン病との類似に着目。
神経の専門家と協力して、脳内のドーパミン分泌を助ける薬を処方することを決断。見事に症状が緩和され、夜間での初めての食べ歩きをおこなう姿が描かれた。まだ原因は未解明だが、医学とそれを活かそうとつくす人の力を感じるドキュメンタリーだった。
「前世の記憶を持つ子ども」は、2006年にイリノイ州で生まれた少年が、前世の記憶をもっているらしいふるまいをする謎を追う。
少年エリックの語る前世は、『風と共に去りぬ』の脚本家シドニー・ハワードと完全に一致。受賞前に事故死したことが心残りだったのか、ハリウッドでオスカー像をエリックがもつと前世の記憶が消えていったというが……それくらい有名作品にかかわっているなら、マイナーな人物であってもプロフィールを見聞きする機会は幼児でもあるはずでは?という疑問は最後までぬぐえなかった。
「謎の連続凶悪事件」は、1991年のモスクワで、アパートに住む女性がベッド下に血だらけで動かない花嫁を見つけたことに始まるミステリー。花嫁は生きていたが記憶を失っており、発見した女性オリガは数日後に転落死。アパートの地下室で殴られた男性が発見された直後に死亡、その地下からは花嫁道具が見つかった。
オリガがベッド下の死体を発見した経緯から、花嫁が見つかった理由だけは推理できるかもしれない。キャンセルになった旅行から予定外に戻ってきて、その部屋に誰かが侵入しようとしてベッドに隠れたわけで、その侵入者が住人が旅行している隙に花嫁を隠そうとしたと見当がつく。
しかしドラマの主軸が生きていた花嫁だからといって、その花嫁が母子家庭で育ち、母に乱暴して消えた父親を追いかけてアパートにやってきて、その父親の再婚相手の連れ子と恋に落ちたという背景は、いくらなんでも推理が不可能だ。その花嫁を始末しようとして、その処理で気づいたオリガや地下室の男を殺していった展開も、サスペンスとしてはおもしろいがミステリーとしてはどうだろう。
とはいえ、結婚式の直前に時計から父親が花嫁の正体を疑ってから事件が連鎖したことや、父親は不妊症ゆえに妻の不貞に気づいたことが別れた真相だったということは、ひとつの因縁譚としてよくできている。父親は結婚の度に知りたくない事実を知り、それを拒絶するように周囲を傷つけてしまっていったわけだ。