法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

あくまで「小説家になろう」で自作を発表しているアマチュアのひとりを、サイトの代表のようにあつかうのはやめよう

二度目の人生を異世界で』の問題*1を受けて、南京事件否定論を主張するhimuwata氏のツイートが、Togetterにまとめられていた。
『二度目の人生を異世界で』騒動を受けなろう小説家、自著の中韓への出版を拒否。また、チャイナ服キャラは台湾人設定へ - Togetter

しかしTogetterでは「なろう小説家」と表記されているが、そもそも作家デビューはしていないと自己認識している。

商業化もされていない現時点では“なろうユーザー”や“なろう投稿者”と表記するべきだろう。
実態以上に表現者としての発言力を大きく見せかけることは、その加害を強めかねない。


もちろん、南京事件否定論者であること自体は批判されて当然ではあるだろう。先日も南京事件否定論を問題視するドキュメンタリ番組が話題になったばかりだ。
『NNNドキュメント'18』南京事件II 歴史修正を検証せよ - 法華狼の日記
また、そのような意識を反映させていくという作者のツイートが本心ならば、作品も評価しづらいものになると予想される。
実際にツイートを読んでいくと、「可愛い」という評価は対象を下に見ているのではないか?という問題意識すらもっていない素朴さを確認できる*2

チャイナドレスという文化に興味が薄いだろうこともうかがえる。台湾にしても都合のいい中国の代替とみなしているだけで、蒋介石南京事件を主張していたこと*3は無視されている。


ちなみに、中国文化を愛好しつつ現在の中国政府に批判的な小説家がいるが、その作品『創竜伝』は政治批判をふくむ巻も中国で出版されているそうである。
「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む : 創竜伝、政治収容所に殴りこむ巻もちゃんと中国で売ってるみたいです

創竜伝の何が問題かといいますと、作中で頻繁に出てくる政治関連の風刺や皮肉の対象に中国共産党が含まれていまして、天安門事件について言及していたりもします。
更には舞台が中国本土になる巻では主役の竜堂四兄弟が解放軍と戦ったり、共産党の政治収容所に殴り込みをかけたりします。

天安門事件を蔑視の根拠ではなく人権の問題としてとらえて、きちんと作品化して発表できるならば、それはそれで素晴らしいことだ。

*1:私自身も言及はしたが、作品は関連部分に目をとおしたくらいで、あまり全体の状況は追えていない。商業化およびTVアニメ化までされるWEB小説『二度目の人生を異世界で』の作者が、ありふれた保守的思想をたれながしていた件について - 法華狼の日記

*2:もっとも、片言表現は私自身も悩みながら最終的に使用したことがある。この件はブーメランで切腹する気分で書いている。

*3:「蒋介石秘録」に見る南京大虐殺 - 誰かの妄想・はてなブログ版