演習予定地に集まろうとしていた自衛隊の一部隊。異変とともに海岸の風景が一変していることに気づく。
その直後、かげろうのように戦国武将があらわれて、部隊は弓矢での攻撃を受けはじめる……
思うところがあって2時間18分の全長版を初めて視聴した。しかし1979年の作品なのにエンドロールがなく、細かなスタッフクレジットが表示されないことを知って驚いた。
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2012/09/28
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物語は、SFらしい異化効果や歴史考証よりも、青春群像劇らしさを優先。鎌田敏夫脚本らしい反抗心と挫折感が満ちている。
さまざまな動機で部隊を離れる隊員が出てきて、なかには戦国時代の強者となることを選んで女性へ性的暴行をふるう連中も出てくる*1。本来の時代へ戻るために歴史を狂わせようとした主流派も、徒労に終わってしまう*2。救われたのは、武器を捨てて現地へ根づこうとした隊員くらい。主人公側が最新鋭の現代兵器を持っていることは、あくまで転落を強調するための踏み台だ。
あまりにも個人の動機で動いて統制がとれない隊員に、かつては違和感もあったが、さまざまな問題が表出している今になって思うと、意外とリアルな描写だったのかもしれない。そもそも劇中でも、予定外に合流した少人数のよせあつめであり、クーデター計画が直前でつぶされた確執もかかえているという、統制がとれない背景は描かれている。
もちろん当時の角川映画らしく、邦画の枠を超えようとするアクション大作としても成立している。
ヘリコプターや哨戒艇や戦車まで実物大で稼働するプロップを作って、対する戦国時代も画面をうめつくすエキストラや騎馬を用意。砦や廃寺のオープンセットも大がかり。哨戒艇とヘリコプターの一部でミニチュア特撮が使われているが、前後との違和感は少なく、映像のスケール感を損なわない。現在に見て古びて感じられるのは、生首などの質感の無さくらいだ。
主演をかねる千葉真一のアクション演出もアイデアが多彩で、肉体をつかったスタントも迫真的。手裏剣を使うニンジャ的アクションが特撮ヒーローっぽくて楽しい。かくして現代兵器が人海戦術と策略で消耗していく過程が念入りに描かれた。