法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 season16』第2話 検察捜査〜反撃

妻が不要になったと思うたびに事故に見せかけて殺した富豪。その3人目の殺害を自白した供述調書に、杉下は疑いをもつ……


スタッフは前回と同じで、ほぼ解決したはずの連続殺人事件から、隠された真相を暴いていく。
しかし自白強要が論点となった第1話からそのまま続いているのに、杉下があからさまな嘘をついて犯行現場に入れてもらい家探しする展開に唖然とした。
『相棒 season16』第1話 検察捜査 - 法華狼の日記

旧シーズンから視聴してきた者としては、捜査時の脅迫を特命係が否認するという物語の基盤が納得しがたい。過去回をふりかえれば、違法な捜査に手をそめることはもちろん、威圧を用いて自白させることは何度もあったはずだ。その暴走する正義ぶりこそがドラマの味わいだといっていい。

冠城が身内を脅しているふりをして協力をえる描写もあることから、「暴走する正義」の強調なのかもしれないが、それを劇中で批判する人間がいないのでおさまりが悪い。


このドラマのSPの悪癖である話の薄さもはっきりした。
まず供述調書を暗唱する杉下を見せて連続殺人の情報をおさらいしたわけだが、それはつまり今回の1時間10分枠だけでも充分に物語が成立するということ。最後の殺人に異なる光を当てる手がかりも、今回に初めて出てきたことから、前回を見なくても話しについていける。
その手がかりとなる浴衣の評価で月本幸子を呼んだり、それで連続殺人のひとつは冤罪かと思いきや新たな罪があばかれたり、今回の展開は警察ドラマとして楽しかっただけに、立ち上がりとなる前回のもたつきがもったいない。初回だからと長編SPにしなくても良かったのではないか。