社会学者の稲葉氏*1が、翼賛を防ぐという理由で、自民党を推すしかないとツイートしていた。
衆参両院で多数派を形成している与党を推させることが、どのように翼賛をふせぐことになるのだろうか。
そう首をかしげていたら、自民党への投票を考慮に入れているid:oranqs氏も似た疑問をリプライしていた。
この疑問に対して稲葉氏は、自民党が希望の党と組むことを恐れているというツイートをしていた。
希望の党への反対を理由として、希望の党と組みかねない政党を推すのだという。
まるで自民党へ支持を集めれば公明党の排除ができると主張する自民党支持者のような理屈だ。
前原誠司氏と同じくらいの説得力を感じる*2。
もともと稲葉氏は、リフレ政策を重視するという理屈から現在の自民党を高評価していた記憶がある。なので消費税増の凍結などを公言した希望の党も、それなりに認めるかと思っていた。あるいは反緊縮政策に変わった枝野幸男氏や*3、インタゲ政策を語っている山本太郎氏あたりを推すかとも思った。
そもそも自民党を推せば希望の党と組まないという根拠がよくわからない。公明党と連立政権を組みつづけている政党だ。たとえ退潮しなくても、多くの共通する政策を理由として連立を組む、そうでなくても多くの政策で協力するという可能性は考えられないのだろうか。希望の党がどこまで自民党と違うのだろうか。
また、今回のツイートから考えると、稲葉氏が許容できる範囲は広すぎないか。
2度にわたる消費税の値上げ、社会保障の抑制、TPP絶対反対公約の撤回、NHK経営委員に百田尚樹らを選定、国連で日本の戦争犯罪を擁護していた人物の公認*4、首相SNSで保守速報の好意的な紹介*5、HDDのドリル破壊などでの証拠隠滅、野党時代からの原発事故時のデマ流布の正当化、性暴行者の逮捕の不明瞭な中止、現職大臣の賄賂授受、日報隠蔽と虚偽説明、臨時国会を開かない違憲状態、国難と称する国会即時解散……といった自民党のありかたが、希望の党と比べて推せる理由になり、社民党や共産党を無視する理由になるのだろうか。
逆にいうと、上記の全てに類する行為を今後に政権をとった政党がおこなったとしても、稲葉氏は相対評価で許容できるのだろうか。疑問はつきない。
*1:はてなアカウントはid:shinichiroinaba。
*2:以前のエントリで書いたように、安倍昭恵氏に対する甘い評価を危ういと思ったことがある。稲葉振一郎氏が森友学園から安倍政権を切断処理しようとしている件について - 法華狼の日記
*3:党首選あたりから明言を見かけるようになった。「風」を失った民進党 枝野幸男が描く復活への「リアルな」道筋
*4:安倍晋三氏の意向もあるらしい。杉田 水脈 on Twitter: "【自民党からの出馬が決まりました】facebookやツィッターを停止しており、皆様には大変ご心配をおかけいたしました。急な解散に伴い、複数の政党より出馬の要請を受けておりました。が、この度、自民党からの出馬が決定いたしました。最後に背中を押していただいたのは櫻井よしこ先生です。… https://t.co/YvoK1ek8Ql"