法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

捕虜の米兵へ食糧を贈っていた日本人の少年がいた

元捕虜の長女が写真等をもって、日本へ探しに来ていたという。
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/357196/

 英国人は、2004年に81歳で亡くなったバーソロミュー・ゲイソンさん。元英海軍2等水兵で、42年3月、ジャワ島北方のスラバヤ沖海戦で撃沈された重巡洋艦の乗組員だった。

長崎市香焼町にあった福岡捕虜収容所第2分所に入れられ、終戦時は福岡市東区にあった同収容所第1分所にいたとみられる。

写真は1945年8月、敗戦後に米軍が撮ったと考えられているらしい。

少年探しに協力しているPOW研究会のコメント。

日本人が捕虜に優しく接するのは許されない時代で「写真のゲイソンさんの表情から、2人に友情が育まれていたことがうかがえる。捕虜と日本人の親しげな写真は極めて珍しい」と驚く。


この逸話を聞いて思い出したのが、武田鉄矢原作のOVA『月がのぼるまでに』だ。
戦争映画ベストテン〜アニメ限定〜 - 法華狼の日記

長野県の山奥に行った父娘が、出会った老人から思い出話を聞かされる。それは村近くの採掘場で捕虜の米兵が強制労働させられていたという記憶だった……

タクシー運転手の話にもとづく武田鉄矢の創作絵本を原作にして、40分で映像化した中編。

地域がまったく違うことから、同じように捕虜を助けた子供が、他にもいたということなのだろう。


もちろん個人の善意がいくらあっても、その栄誉を国家が盗むことなど許されない。
それを理解した上で、わずかなりとも救いがあったことは、やはり記憶すべきことだと考える。
軍国主義が普通だった当時でも、それを教育されていた幼い少年でも、ちいさな抵抗をこころみることができたのだ。