法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

タラップをはいあがるしかなかった車椅子利用者を非難している人のなかで、エレベーターで車椅子用のスイッチを押している人はいないだろうか?

もともとは自分と異なる属性に対しておこなわれた政策であっても、おかげでなんらかの利便性をえられたことが誰にだってあるだろう。
もちろん自分に利益がなくてもバリアフリーを目指すべきという理想は大切だが、異なる局面や未来における自身の利便性を想像することもできるはずだ。


しかしバニラ・エア航空の一件を見ていると、全体にとっての利益となる訴えに対してさえ、被害者個人の問題とみなしたがる無残な反応が散見される。

ここにバニラ・エア航空の問題が今件以前に可視化されていなかったという反省は見られない。
そもそも往路では同行者の助けでタラップを降りて、それが同社の規則違反だと復路でつたえられた経緯から、航空会社側の立場だけで考えても不手際があったと認めざるをえまい。
http://www.asahi.com/articles/ASK6H4HCWK6HPPTB004.html

木島さんは関空の搭乗カウンターでタラップの写真を見せられ、「歩けない人は乗れない」と言われた。木島さんは「同行者の手助けで上り下りする」と伝え、奄美では同行者が車いすの木島さんを担いで、タラップを下りた。

 同5日、今度は関空行きの便に搭乗する際、バニラ・エアから業務委託されている空港職員に「往路で車いすを担いで(タラップを)下りたのは(同社の規則)違反だった」と言われた。その後、「同行者の手伝いのもと、自力で階段昇降をできるなら搭乗できる」と説明された。

航空会社サイトの指示にしたがって事前連絡さえすればトラブルなく移動できたかというと、そういうわけですらないようだ。
小学館運営の情報サイト「まなナビ」によると、ちょうど1ヶ月ほど前の取材で事前連絡したところ、2回とも搭乗が許可されなかったという。
バニラ・エアに事前連絡したが乗れなかった車いす女性 | | まなナビ

先月、記者は、障がい女子のためのフリーペーパー「Co-Co Life☆女子部」の取材に同行した。行き先は、今回問題となっている奄美大島だ。

読者モデル2名とカメラマン、介助者と記者の5名で奄美大島にあるダイビング施設でアクア・アクティビティ体験をレポートする取材だった。そのうち1名は重度の障がいがあり、電動車いすを利用している。

この「まなナビ」記事では、車椅子利用者は移動の制限がきびしく予定変更への対応が難しいという重要な指摘や、奄美大島にはバリアフリーでアクアアクティビティをおこなえる施設がある皮肉など、興味深い情報が多い。