法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』人生どっちに転ぶ!? 天国と地獄SP

2時間SP。浅いコメントばかりのジミー大西が、それゆえ直球で真面目なゲストのように機能して、周囲におだてられていた展開が興味深かった。


「一攫千金! ベーリング海カニ漁とペルセベハンター」は、危険な漁業に密着取材。日本でもマグロ漁船などは危険と隣りあわせの高給ぶりで知られているが、こちらのカニ漁は氷に閉ざされることもしばしばで、取材中に沈没した船がいくつもあるという。実際、氷が船の外郭を氷がつきやぶる寸前の映像も撮影されている。吊り下げられた籠などが人間にぶつかりそうになる映像も多数。そんな危険な日々で、乗組員はハイテンションになり、子供のようなイタズラを周囲にしかける。ライバル漁船の網にわざわざ持ってきた廃車を入れて豊漁と錯覚させたりするが、イタズラをしかけられた側も大笑いして、いかにも海の男といった印象ではあった。一方、ペルセバは日本のカメノテと近い高級食材で、荒波が押しよせる岩場へロープ1本で降りて集めるという。
「軍人になるか否か? タイの徴兵の日」は、クジ引きで5人に1人が兵役につくタイで、トランスセクシャルに取材。性転換手術をすませた場合は医療的な基準で徴兵されることはないが、そうでなければ実際に兵役につくこともある。兵役につくことでショックを受ける一般男性なども映しつつ、この番組で紹介された範囲では受けいれて楽しんだトランスセクシャルしか登場せず、女性の人格を男性としてあつかう社会制度の問題や、医療的な問題などは紹介されない。当然のように徴兵制の問題などもふみこまない。あと、彼女らをふきかえる声優が男性で、ことさら「オネエ」を強調するような演技をしていた音響演出が気にかかった。
「勝てば減刑!? ムエタイトーナメント」は、海外のムエタイ選手と戦って、勝てば減刑されるタイの司法制度に取材。元プロのムエタイ選手が転落して収監されたものの、勝利をつかんで減刑され、ムエタイトレーナーとして社会復帰できた姿などが紹介。勝利のためトレーニングすることは社会復帰の一助にもなりそうだ。番組では犯罪者を強くした上に野放しするリスクばかり懸念されていたが、番組で紹介されていない背景として、そもそも模範囚でなければ試合に出られないらしく、減刑基準も10戦9勝という厳しいものらしい*1。現在は停止されているらしいが、なかなか娯楽の題材として興味深いシステムではあった。
「ゲイを告白したアメフト選手」は、ドラフト指名前にゲイをカミングアウトした選手のドラフトまでの日々を映す。大学チームの仲間にはカミングアウトしていたマイケル=サム選手は、その情報が地元メディアに流れたりしたことを受けて、ドラフト前にカミングアウトし、メディアにとりあげられ、疎外される未来を予測される。大学時代に最優秀選手に選ばれたマイケル選手は、本来なら1巡目で指名されてもおかしくない。しかしドラフトが終わる3日目の終盤にすべりこむように指名されただけ。それでもぎりぎりハッピーエンドかと思いきや、ドキュメンタリー終了後の番組説明において、試合には出されないまま半年で契約が打ち切られたという苦しい現状が明かされた。