何に対しても完璧で、嫌いや好きという感情をもたない高校2年生、琴爪ゆかり。ふとした出会いの気まぐれで、いちかをショッピングにさそってあげる。
しかし目当てのマカロンが買えなかったことで、いちかがゆかりをパティスリー工房へと強引にさそい、逆に新しい世界を感じさせることに……
今回は上野ケン作画監督で、麗しい新プリキュアの誕生を華々しく描く。
なんといっても、フェミニンでいて他者に媚びず、大人びて完璧主義者な琴爪ゆかりが魅力的。同じ田中仁シリーズ構成の『Go!プリンセスプリキュア』の天ノ川きららに近いが、はるかに物事への興味が薄くて、これまでのプリキュアシリーズにはいない人物像だ。
脚本の坪田文とコンテの黒田成美が女性ということもあるだろうか*1。自立していて気まぐれで、他者を簡単にてなずけて、しかし嫌味はないし子供っぽさも残している。
新プリキュアのモチーフとなるマカロンを、きちんとドラマに深く組みこんでいるところも素晴らしい*2。あいかわらず製菓シーンもていねいに描写され、料理アニメとして楽しめる。
まず、カラフルだが万人向けではない菓子そのものが、ゆかりというキャラクターをよく象徴している。それを作る難しさでゆかりを製菓に引きこみ、そこで見た目は完璧なのに味はイマイチという結果から、ゆかりの性格を引きだしつつプロにはかなわないという能力の線引きをする。
さらに、いちかたちを能力不足と端的にゆかりに指摘させ、これまで製菓で失敗をくりかえしてきたことを説明づける。そして製菓を試行錯誤することそのものの楽しみを、いちかにあらためて語らせる。新キャラクターの登場回であると同時に、メインキャラクターのドラマのふりかえりとしても成立していた。
*1:暮田公平SDも宣伝ツイートでふれている。暮田 公平 on Twitter: "明日のプリキュアアラモード5話、やっと登場のゆかりさんです。ゆかりにものすごくシンクロした坪田さんのシナリオを、黒田さんが女性ならではの雰囲気でコンテにしてもらい、中島さんに処理でまとめてもらいました。心の中のときめきで変身する、ときめキャット、良かったら見て頂けるとうれしいです"
*2:脚本家とプロデューサーも挑戦して失敗し、難しさを実感したという。https://twitter.com/tsubofumi/status/838178864140464128