法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒season15』第17話 ラストワーク

インターネットに自作映像を投稿して小金を稼ぐ動画クリエイター。そのひとり、犯罪現場でふざけた映像ばかり撮影していた男が、現在進行形の拉致事件を投稿しはじめた。
リアルかフィクションか判断がつかず、とりあえず特命係に調査の指示がくだったが、やがて拉致され森につれられた老人の死体が湖からあがってくる……


いわゆるユーチューバーや生主のような設定に、スナッフフィルムを組みあわせたストーリー。リアルタイムで投稿されていく動画から手がかりを見つけながら、被害者と思われる老人のプロフィールをさぐっていく。
残念ながらミスディレクションが弱くて、序盤で予想したとおりの真相で終わってしまった。そもそも最初にリアルかフィクションという2択しか示さず、その一方がそのまま正答だったので、意外性を感じようがない。現在は非公開となっているアマチュアクリエイターの某作品*1に比べて、ひねりが足りない。
その真相とは、もともと映画監督になりたくて夢破れた老人が、現代の動画クリエイターに共感して、協力して作品をつくったというもの。老人が死体となったのは、仕事ができないほど癌が進行した肉体を、作品へ奉仕させるため。
つまりこのドラマでよくある命をかけてうったえるパターンなわけだが、視聴者には真相が見えすいているので、残り少ないとはいえ命を捨てるまでしなくていいだろう、と思ってしまった。
商業監督になれなかったため30年前に自主制作した作品が、当時は斬新だったフェイクドキュメンタリー*2というところも、いまとなっては夢を追えなくなった後に時代に追いぬかれたという哀れさがあった。ノイズだらけのVHSビデオで映しだされた劇中映像は、なかなか雰囲気が出ていて良かったけれども。

*1:『【拡散希望】ストーカー殺人事件の証拠映像【ヤバい】』をYOUTUBEで見つけた - 法華狼の日記

*2:作品が完成しながら賞に落ちたのが1997年のとこだとすると、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が大ヒットする2年前という時系列になる。