法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』南極ペンギンを救え!/日づけ変更カレンダー

晦日1時間SPの予告で、パーマンが登場するとの情報。かつて誕生日SPでもコラボしたことがあったが、あの時は劇中劇のキャラクターというあつかいだった*1


「南極ペンギンを救え!」は、福引でスケート券を当てたジャイアンが皆をさそおうとするが、カナダでスケートしたと自慢するスネ夫にやる気をなくしてしまう。そこでドラえもんが南極へ誘うことに……
いかにも来年の映画を宣伝するためのアニメオリジナルストーリー。映画を宣伝している織田信成が劇中に登場して、のび太のスケートのコピー元を担当したりもする。
単純に南極へ行ってすませるのではなく、きちんとスケートリンクらしく氷の表面を整えたり、スケートのアニメーションに力を入れていたり、ディテールが細かい。さらにドラミの登場や氷山がせまりくるサスペンス、海がおおわれてペンギンが餌をとれなくなる自然描写など、短編ながらSP作品らしい要素の多いストーリーとなっている。
しかもジャイアンがやけにスネ夫からひどい目にあわされているなと思っていたら、秘密道具「まあまあ棒」で怒りを押しこめる描写から、予想外の展開を見せる。原作短編「まあまあ棒」は読んでいたので、オチ自体は見ながら予想できていたが、まさか原作のオチの台詞「あのすさまじいエネルギーを、なんとか平和に利用できないものだろうか」を組みこんだ物語になるとは予告を見た段階ではまったく予想できなかった。


「日づけ変更カレンダー」は、のび太がクリスマスプレゼントを少しでも早くほしがり、秘密道具で周囲の日付感覚を変えていく。さらに自分勝手に日付を変更しつづけていくが……
原作初期の季節ネタを、ほぼ忠実なストーリーでアニメ化。プレゼントをもらうためにタイミングを調節する必要があり、さらに大人にはクリスマス以外の意味もあるため思い通りに行動してくれないというアンビバレンツな展開が楽しい*2
パパの仕事を出張にアレンジしたり、しずちゃんを登場させてバレンタインチョコをもらおうとしたり、秘密道具の機能をふまえてアンビバレンツを増していくアニメオリジナル描写もよくできている。ただ、クリスマスケーキは2日前なら店に置いていてもおかしくないのでは、とは思った。

*1:来年の映画の高橋敦史監督が、初めて誕生日SPのコンテ演出を担当した回でもある。『ドラえもん』真夜中の巨大ドラたぬき - 法華狼の日記

*2:ちなみに原作後期には全世界の日付を変える「気まぐれカレンダー」というエピソードもある。こちらは変更に付随する問題はほとんどないが、のび太の欲望の矛先やオチなどで別ルートを見ているような面白味がある。