TV番組に出ている料理研究家リリアは、リコの母だった。そんなリリアが朝日奈家にやってきて、人気の料理研究家として歓待される。
リリアがやってきたのはリコの誕生日を祝うため。さらに父リアンや姉リズもおとずれて、盛大なパーティーが始まる……
今回は村上貴之演出で、誕生日という特別な1日をじっくり描いていく。特に良かったのが日照の変化。パーティーが終わって閑散とした場面では、影が長く落ちて寂寞感を表現する。それから黄昏時をすぎて、家族との別れを静かな夜でしっとりと見せる。時間の変化が情景として表現されているから、すごした時間の長さも実感できる。
リリアのキャラクターは幼年向けアニメに典型的な天然気味の母親だが*1、魔法使いのイメージにぴったりあっている。ひさしぶりにリコと会った魔法界の住人として、リコの魔法能力を評価して、誕生日らしく成長のドラマにも目配せする。
そして魔法界特有という盛大なパーティーは、料理も飾り付けも米国のホームパーティーを思わせる。考えてみると、魔法少女物の原型となったドラマ『奥様は魔女』は、かつて日本人に北米文化への憧れを感じさせた作品でもあった。そういう意味では歴史的に正しい描写ともいえるだろうか。
*1:少し視聴者の年齢があがると怒りっぽい母親になり、さらに年齢があがると天然気味な母親に戻る……という傾向を感じているが、統計をとったわけではない。
