前回に放送されたドラマの舞台裏と、制作にかかわった人々の思いを放映する。
NHK バリバラ | バリバラ×やまなみ工房 ドラマ・アフタートーク
何人か俳優もいるかなと思ったが、本職の俳優は主演の横田美紀のみで、施設の関係者はどれも本物。そこで横田美紀は劇中の立場を演じて、関係者に信じてもらうことにしたという。
全体として、アドリブが物語を侵食していく姿が興味深い。
特に、インスタントラーメンの袋に執着して主人公のたのみを聞かない役割だった人物が、主人公のたのみを聞き入れてしまってインスタントラーメンを手放し、ドラマスタッフが困ってしまう展開が印象的だった。
『バリバラドラマ第3弾 アタシ・イン・ワンダーランド』 - 法華狼の日記
女性のアートづくりを手伝おうと、インスタントラーメンの袋をとりあげ、画材を与える主人公。もちろん女性は拒否するし、自由を尊重するようにと施設長も主人公へ語る。
ドラマは思い通りにならない描写として印象的だったが、現実には思い通りになったからこそ思いに反したという逆説があったとは。
ひとつ残念だった描写についても、台本の台詞は異なっていて、俳優の激情がアドリブとして漏れ出したのだという背景が明かされた。
主人公の認識が変化する過程は理解できるものの、ドラマスタッフに激怒するほどの心情の変化は不自然に感じられた。
やはりドラマとしてはアドリブを抑えてコントロールしてほしいところだが、舞台裏が心情の変化の補助線として成立しており、アフタートークと合わせると味わい深い描写へと変わった。